研究課題/領域番号 |
18K06209
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
齊藤 健太 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60374659)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | バイオイメージング |
研究実績の概要 |
初年度では計画通りに、まず線虫で発現させるために既存プローブの線虫での発現を試みた。これは線虫プロモータを含む発現ベクターへの載せ替えだけでなく、既存プローブのタンパク質を線虫由来タンパク質へ置き換える作業や、線虫コドンへの置き換える作業も含んでいる。線虫への遺伝子導入は、倒立微分干渉顕微鏡下にて線虫の生殖巣へのマイクロインジェクションにより行った。そのための、針を作るプラー、針の先端を削るグラインダー、顕微鏡下で針を操作するマニピュレータはラボで現有していた。使用経験はなかったが操作はそれほど難しくなく、予想よりもスムーズに実験を進められた。まず始めに発現量が高いプロモータとして、大壁筋に発現するmyo-3を用い、置き換えた各遺伝子の発現をそれぞれ確認した。また、線虫コドンへの置き換えをせずに発現を試みたところ、十分な発現が観られたため、これまで培養細胞で使用していた蛍光タンパク質、プローブのコドンのままで使用することができた。コドン最適化がほぼ必要なかったのも順調に研究が進展した原因と考えている。 さらに、別のプロモータを使って隣り合う細胞同士に発現させた際に相互作用すると考えられる部位でのシグナルを確認することもできた。インジェクターに関してはミネラルオイル方式のタイプを現有していたが、液漏れ等で操作が難しかった。そのため空圧式を購入したところ、非常に楽にインジェクションできるようになり、予想以上に早く実験を遂行することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究業績の概要に記載したとおり、線虫への遺伝子導入(マイクロインジェクション)に関しては、針を作るプラー、針の先端を削るグラインダー、顕微鏡下で針を操作するマニピュレータまで当該ラボで現有していた。使用した経験は無かったが、予想よりもスムーズに実験を進められた。インジェクターに関してはミネラルオイル方式のタイプを現有していたが、液漏れ等で操作が難しかった。そのため空圧式を購入したところ、非常に楽にインジェクションできるようになり、予想以上に早く実験を遂行することができた。また、線虫のコドン最適化がほぼ必要なかったのも順調に研究が進展した原因である。
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今後の研究の推進方策 |
現段階では線虫での遺伝子発現は一過性のものであり、かつ、全ての細胞が遺伝子を発現するわけでない(モザイク発現)。そこで安定発現株の作製をまず行う。これは遺伝子を導入した線虫に対してUV照射を行い、ゲノムへの遺伝子の挿入を促すものである。安定発現株ができた後は、顕微鏡下でのタイムラプス観察を行う。タイムラプスでは線虫を一定期間、動かないようにする必要があるので、そのための方法として、ハイドロゲルやPDMS製チャンバーを利用する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想していたよりも研究がスムーズに進んだため、マイクロインジェクションに手間取らなかった点、コドン最適化等が必要なかった点が挙げられる。 また、必要経費としていた蛍光実体顕微鏡は研究室の機材を組み合わせることで構築することができたため、購入の必要が無くなった。
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