研究実績の概要 |
<最終年度に実施した研究の成果> (1)液胞が核外からNVJを介してrDNAの凝縮、核小体の再配置、ヌクレオファジーによる核小体タンパク質の分解、飢餓後の生存を促進することを明らかにした(Tasnin et al. 2021)。(2)NVJに集積局在するNVJタンパク質を網羅的に調べた結果、Mdm1を新たに核小体の再編成、ヌクレオファジーによる核小体タンパク質の分解、飢餓後の生存に必要な因子として同定した(Sharmin et al. 2021)。(3)分裂期rDNA凝縮に欠かせないCdc14フォスファターゼおよびTopoisomerase IIが飢餓誘導性のrDNA凝縮にも関与することを解明した(Mostofa et al. 2020)。(4)ミクロヌクレオファジーにも関与すると推定されるESCRT複合体がバルクのミクロオートファジーに重要であること、それにPP2Aフォスファターゼが関与することを明らかとした(Morshed et al. 2020, Sharmin et al. 2020) <研究期間全体を通じて実施した研究の成果> (1)栄養源飢餓およびTORC不活性化により、核小体タンパク質が核と液胞の接続部NVJ近傍に近寄る一方、分解されないrDNA領域は凝縮しつつ逆にNVJから遠ざかることで、通常は核小体内に内包されるrDNAが核小体タンパク質から分離し、それがヌクレオファジーによる核小体タンパク質の分解、飢餓後の生存に必要であることを見出した。(2)液胞が核外からNVJを介してこれらのイベントを促進することが示された。(3)飢餓後のこれらのイベントに必要な因子としてコンデンシンとHmo1、Cdc14フォスファターゼ、Topoisomerase II、核膜にrDNAを繋ぎ止めるCLIPとcohibin、ミクロヌクレオファジー因子Nvj1、Vac8、Mdm1を同定した。
|