研究課題
本申請課題はElongin BC型ユビキチンリガーゼによる細胞分裂、細胞分化の制御メカニズムの解明を目的とするものである。本年度はユビキチンリガーゼFODの解析を進めた。FODは機能未知のユビキチンリガーゼであり、標的とする基質タンパク質も同定されていない。試験管内ユビキチン化アッセイを行ったところ、FODの自己ユビキチン化が認められたので確かにユビキチンリガーゼ活性があることが判明した。FODの生理的な役割を明らかにするために、FOD結合タンパク質を探索した結果、骨格筋分化に関与するタンパク質を同定した。細胞内のFODをノックダウンしたところ、このタンパク質は蓄積した。さらに筋芽細胞株C2C12を用いて骨格筋分化誘導を行い、FODの役割を解析したところFODノックダウン細胞はコントロール細胞に比べて骨格筋分化が促進していた。したがってFODはこのタンパク質のユビキチン修飾依存的分解を誘導することで骨格筋分化を阻害していることが示唆された。現在、個体レベルでのFODの役割を明らかにするためにFODノックアウトマウスの作製を試みている。また、この骨格筋分化関連タンパク質がFODによってユビキチン修飾を受けることを確認するために試験管内ユビキチンアッセイを行うことを目的として、それぞれリコンビナントタンパク質の精製を試みている。さらに骨格筋分化誘導時におけるユビキチン修飾を調べるためにin vivoにおけるユビキチンアッセイを試みている。
2: おおむね順調に進展している
ユビキチンリガーゼの生理的な役割を明らかにするためにはその標的となる基質タンパク質の同定が必須である。本年度の解析結果から機能未知ユビキチンリガーゼFODの標的タンパク質として骨格筋分化に関わるタンパク質を同定できているため、研究計画と照らし合わせて上記のように判断できると考えられる。
今後はFODと骨格筋分化に関わるタンパク質の結合様式(結合部位や分化誘導刺激依存性など)や試験管内ユビキチンアッセイ、FODノックアウトマウスの解析、FODによって制御されるシグナル伝達経路の探索を行う。
想定していたよりも安価で研究を進めることができたため次年度使用額が発生した。また、2019年度より異動したため、安全キャビネットなど必要な備品を購入し研究を続ける。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件)
生体の科学
巻: 69( 5 ) ページ: 462─463
J Biol Chem
巻: 293 ページ: 12502-12515
10.1074/jbc.RA117.000321.
FEBS letters
巻: 592 ページ: 1716-1724
doi: 10.1002/1873-3468.