研究課題/領域番号 |
18K06217
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山城 佐和子 京都大学, 生命科学研究科, 講師 (00624347)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アクチン / 細胞接着 / 細胞運動 / 1分子イメージング / 定量ライブイメージング |
研究実績の概要 |
細胞の発生する力は、周囲を取り巻く微小環境に伝わり、移動、形態変化、増殖、分化決定など様々な細胞機能に重要であることがわかってきている。本研究では、細胞内分子イメージング法である単分子スペックル顕微鏡法により、力を発生するアクチン細胞骨格と細胞外マトリックスを繋ぐ接着斑分子の構造変化を直接可視化し、力伝達の機序を一分子レベルで明らかにすることを目的としている。本年度は、接着斑分子ビンキュリンとタリンの細胞葉状仮足における細胞内単分子イメージングを行い、これらの分子が細胞仮足で広く観察されるアクチン求心性流動と同速度・及び方向で流動することを明らかにした。この結果は、ビンキュリンとタリンが細胞仮足のアクチンネットワークに会合していることを示唆する。さらに、ビンキュリンの部分機能欠損変異体を単分子イメージングにより定量解析した結果、ビンキュリンはタリン結合を介してアクチンネットワークに会合していることが明らかとなった。これらの成果は、第19回日本蛋白質科学会・第71回日本細胞生物学会合同年次大会と2020年 生体運動研究合同班会議において口頭発表を行った。また、国際会議であるアメリカ細胞生物学会年会(American Society for Cell Biology / EMBO 2019 meeting)にてポスター発表を行った。さらに、2018年と2019年に発表した研究成果 (Yamashiro et al, Mol. Biol. Cell, 2018;Yamashiro et al, Biophys. J., 2019) を纏めて論じた総説をJournal of Muscle Research and Cell Motility誌に発表した(査読あり)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者はこれまで、細胞内蛍光単分子イメージングを格段に改良し、高精度の時空間分解能で単分子の振る舞いを捉える簡便・高効率なeSiMS 顕微鏡法(electroporation-based Single-Molecule Speckle Microscopy)を開発した。本研究では、eSiMS 顕微鏡法を用いて、力と相関のある分子変動を捕捉して得られる時空間的情報を手掛かりに、アクチン流動力伝達の分子機構を明らかにすることを目的としている。現在まで、接着斑分子ビンキュリンとタリンが細胞仮足のアクチン線維流動と相関する現象を見出している。また、細胞接着分子の部分機能欠損変異体シリーズを分子動態観察により定量的に解析し、分子機能と動態の相関から、アクチン線維流動-接着分子-細胞外基質の分子メカニズムの解明を進めている。さらに数十ミリ秒の時間分解能によるナノメートルスケールの分子トラッキング解析を行なっており、アクチン線維流動力と細胞外基質の連結機構の解明を進めている。これまでの成果は国内外の学会で発表しており、2018年と2019年に学術論文として発表した (Yamashiro et al, Mol. Biol. Cell, 2018;Yamashiro et al, Biophys. J., 2019) 。さらに未発表の成果について、2020年度に学術論文として発表する準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、細胞接着分子(ビンキュリン、タリン、インテグリンβ1)の一分子動態観察を行い、細胞内アクチン流動力との相関の可視化解析を行なった。また、細胞接着分子の部分機能欠損変異体シリーズの分子動態解析とナノメートルスケールの分子トラッキング解析から、アクチン線維流動力と細胞外基質の連結機構の解明を進めている。本年度は、細胞接着分子の一分子動態に基づいた数理モデル解析を行い、アクチンネットワークと細胞外基質の連結機構のさらなる理解を目指す。さらに、本年度は当該研究課題の最終年度となるため、現在論文投稿の準備を進めているが、本研究における成果を学術論文として発表することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本年度は英文総説及び学術論文投稿、受理(2篇)と国内学の学会発表など、成果発表を多く行なった。そのため、物品費の支出が見込みより少なく、次年度使用額が生じた。
(使用計画)次年度は、論文投稿に必要な実験遂行のため、必要な物品を引き続き購入する。また、研究成果の発表も活発に行う予定である。
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