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2020 年度 実績報告書

紡錘体チェックポイントからG1期にスリップした四倍体化細胞の細胞死の新規機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K06221
研究機関鳥取大学

研究代表者

井上 敏昭  鳥取大学, 医学部, 准教授

研究期間 (年度) 2018 – 2020
キーワードSIRT2 / p53 / p21 / Myc / 抗がん剤 / 細胞死 / M期停止 / 四倍体化
研究実績の概要

紡錘体チェックポイントは、全ての染色体が紡錘体と正しく結合するまで分配されないようM期停止させる監視機構である。紡錘体を標的とする抗癌剤(微小管阻害剤)としての作用機序は、紡錘体チェックポイントを発動させ、二つの細胞死を誘導することにある。二つはM期停止中のアポトーシス(Death in Mitosis ; 以下DiM)である。しかしM期停止は永続せず、紡錘体が破壊されたままでも一定時間後にM期停止は終了し、DiMで死ななかった細胞は、染色体分配されないままG1期ヘスリップし、四倍体化する。このとき一部の細胞で第二の細胞死(Post-Slippage Death ; 以下PSD)が起きる。この二つの細胞死が紡錘体を標的とする抗癌剤の感受性を左右する。この2つの細胞死について、我々はSIRT2が関わることを見出していた。本研究では、その機能解明を進め、SIRT2の下流として、p53-p21経路、Myc・オートファジー経路、微小核形成を見出した。
SIRT2はP/CAFを介してP53-p21の経路を制御していた。p53のユビキチン化酵素MDM2に対するユビキチン化酵素の一つにP/CAFがある。SIRT2はP/CAFとタンパク質同士で結合→脱アセチルによるP/CAF不安定化→MDM安定化でp53発現を抑制していた。SIRT2がp53蛋白安定性を制御する機序については、日本癌学会発表で報告し、さらに論文として報告した。これまでの研究でp53の代表的標的遺伝子であるp21が微小管阻害剤処理でM期停止した細胞の細胞死を抑制するという、制癌においては負の側面を見出した。この場合のp21の作用機序は不明であり、従来想定されていたCDK1阻害ではない。このことより、SIRT2はPSDだけでなく、p21を介してM期停止中の細胞死を制御していることが明らかになった。今後、諸兄姉によって、SIRT2が標的とするMycおよびオートファジー関連分子や微小核形成に着目したPSDの研究の進展が期待される。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] ハルビン医科大学(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      ハルビン医科大学
  • [学会発表] 生細胞で骨分化をモニターできるヒト不死化間葉系幹細胞株の樹立2020

    • 著者名/発表者名
      奈良井節, 綿世諒平, 中山祐二, 小谷勇, 井上敏昭, 古倉健嗣
    • 学会等名
      第19回日本再生医療学会
  • [学会発表] 生細胞で骨分化をモニタリングできるヒト間葉系幹細胞株の樹立2019

    • 著者名/発表者名
      奈良井節, 綿世諒平, 古倉健嗣, 井上敏昭, 田村隆行, 小谷勇
    • 学会等名
      第48回(公社)日本口腔外科学会中国四国支部学術集会

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公開日: 2022-04-15  

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