研究実績の概要 |
最終年度は以下の研究成果を得た。研究課題(1)GPCRのクラスリン小胞への取り込みにおける細胞膜脂質成分の役割については、ゴルジ体のPtdIns(4)Pの産生がエンドサイトーシスに及ぼす影響やアクチン重合に及ぼす影響について、PtdIns(4)Pの脱リン酸化酵素であるの変異体を用いて解析した。研究課題(2)細胞内へと取り込まれたGPCRの初期エンドソームへの輸送機構については、Pan1p(哺乳類 Eps15ホモロクグ)をプローブとしたラパマイシン誘導性二量体化法によりクラスリン小胞-アクチン骨格間の結合に関わる因子の解析を進めた。研究課題(3)GPCR輸送におけるゴルジ体-エンドソーム-リソソーム間の輸送経路の解明については、トランスゴルジ網(TGN)の中でTlg2pが局在する区画とArf GEFであるSec7pが局在する部位が異なることを明らかにした。 研究期間全体の研究成果は以下の通りである。まず研究課題(1)については、ホスファチジルイノシトール(PtdIns)代謝に関わるリン酸化酵素の温度感受性変異体や多重遺伝子変異体を作成し、エンドサイトーシスおよびその輸送経路におけるPtdIns(4)PとPtdIns(4,5)P2の役割を明らかにした。研究課題(2)については、エンドサイトシーシスによる取り込み過程にはたらくPan1pをプローフとしたラパマイシン誘導性二量体化法を用いて、小胞とアクチン骨格の結合を仲介する因子を同定した。また、 研究課題(3) については、コルジ体からの輸送とエンドサイトーシス経路との関連について調べた。その結果、蛍光エンドサイトーシスマーカがTGNに局在するt-SNARE画分に取り込まれ、その後クラスリンアダプタータンパク質であるGGAs依存的にRab5の局在するエンドソームへ輸送されることを明らかにした。
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