研究課題/領域番号 |
18K06236
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
小野 弥子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 副参事研究員 (20392376)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | プロテアーゼ / タンパク質間相互作用 |
研究実績の概要 |
カルパイン7のプロテアーゼ活性検出が可能な系、及び、新規結合タンパク質の同定を実施した。また、カルパインファミリーの中で、カルパイン7と同じグループに属する他のカルパインとの類似点、相違点を利用して、変異体を作製し解析した。 1) 昨年度よりカルパイン7変異体の発現コンストラクトの作製を続けて行った。分子C末端領域の点変異体について、報告されている立体構造上の位置、SNPによるアミノ酸置換などとの対応から複数を選択し、発現実験を行った。この中では、発現効率、安定性に顕著な差は認められなかった。 2) カルパイン7と類似構造を持つ他のカルパイン分子種を合わせて解析した結果、スプライシングによる構造変化が基質特異性を変化させることを見出した。この現象をヒントに、これらの分子間におけるアミノ酸配列と推測される立体構造の類似性を対応させ、特異性変化に関わる性質の同定を行った。 3) BioIDにより同定したカルパイン7の結合タンパク質については、基質となる可能性が見出されなかった。これらのタンパク質は特定のGOに有意に帰属されることはなかったため、文献情報をもとに優先順位をつけたが、再検討中である。相互作用タンパク質との共働によりカルパイン7の活性化が更新するという可能性は、得られた中では見出されなかった。組織または初代培養の系で、相互作用とカルパイン7の活性との関係を検討するため、ノックインマウスの使用を開始した。ノックアウトマウスとの違いについて、検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
他のタンパク質に対するプロテアーゼ活性を検出できないことが、最も大きな障壁である。また、相互作用が強く検出されるタンパク質について、それを反映する検出法を決定できなかった。また、活性依存的なプロテオームの変化測定は、少なくとも定常状態の細胞・組織においては検出されず、これについては着眼点が不適切であった。
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今後の研究の推進方策 |
ノックアウトマウスとノックインマウスの表現型を比較し、タンパク質の有無が、プロテアーゼ活性とは関係なく表現型を引き起こす可能性を検討する。開始時点では、プロテアーゼドメインのみのmini-カルパイン7において活性を見いだせる可能性を考えていたが、これまでに利用しやすい発現条件を得られなかったが、昨年までの報告文献をもとに改善を試みる。相互作用タンパク質との関係については意味を持ちそうな細胞系において、目的に合ったコンストラクトを発現するものを作製予定である。細胞外からの刺激で、カルパイン7の挙動(活性や局在に限定せず)の変化が得られる実験条件を確定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定されていた学会参加が一件中止となった。実験用のマウス飼育について、産仔数が少なかったため、必要な飼育費用が減額となった。次年度以降のマウス飼育、実験に必要なcDNA、試薬、消耗品の購入、及び、学会参加費として使用する。
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備考 |
プロジェクトホームページ(所属機関作成) http://www.igakuken.or.jp/calpain/
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