胸ヒレや四肢などの有対ヒレは、正中ヒレの発生メカニズムを体側に流用することで進化したとされる。しかし、具体的にどのように起こったのかはよくわかっていなかった。そこで本研究では、正中ヒレが有対化する変異体をモデルとしてその過程を推定した。その結果、正中ヒレ形成過程に左右性がすでに内包されていること、有対化はその左右性を表出する形で起こることが分かった。さらに、正中ヒレと有対ヒレは、共通する予定ヒレ領域を使って発生してくることも明らかになった。したがって実際の進化過程おいても、有対化変異体で起こった遺伝学・発生学的変化に似た現象によっての有対ヒレ獲得が起こった可能性が示唆される。
|