研究課題/領域番号 |
18K06249
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
信久 幾夫 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (40332879)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 造血 / 血液細胞塊 / NF-kappaB / 造血幹細胞 / Tet1 |
研究実績の概要 |
大動脈に生じる造血幹細胞を含む血液細胞塊について分化状態と関連を認める細胞の位置に注目して、造血幹細胞の発生、成熟、および維持機構を明らかするために、本年度は以下の実験を行った。 1)ホールマウント蛍光免疫染色と共焦点顕微鏡による観察の結果、血液細胞塊を構成する細胞において、NF-kappaB (p65) の発現が細胞質に認められる細胞と核内に認められる細胞が存在した。そこで、NF-kappaBの上流に存在する3つの受容体TNFRII、IL-1R、TLR4について、胎生10.5日目の血液細胞塊の構成細胞で未分化性の高いCD45<low>c-Kit<high>細胞における発現を解析したところ、それぞれの受容体の発現を認めた。さらに、このCD45<low>c-Kit<high>細胞集団についてTNFRII陽性細胞が陰性細胞と比べて、in vitroでの造血能が高いことを示した。同様に、IL-1R陽性細胞と陰性細胞、TLR4陽性細胞と陰性細胞についても、受容体陽性細胞の方がin vitroでの造血能を保持していた。加えて、血液細胞塊においてTNFRIIが発現しており、血液細胞塊におけるNF-kappaBシグナルの重要性を示した。 2)ホールマウント免疫染色およびRT-PCRによる準備研究から、脱メチル化に関与する酵素Tet1タンパク質が血管内皮細胞に比べ血液細胞塊で高発現することを見出していた。そこで、In situ ハイブリダイゼーションによる血液細胞塊Tet1の発現を調べたところ、やはり大動脈の血管内皮細胞と血液細胞塊において発現を認めた。さらに、Tet1により生じる5メチルシトシン(5mC)の存在について免疫染色により検討を行うと、血液細胞塊において大動脈内にある血液細胞と比較して5mCが多く認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に計画していた実験内容について、血液細胞塊におけるNF-kappaBシグナルの重要性および脱メチル化に関与する酵素Tet1の関与について示すことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
現在、血液細胞塊において未分化性に寄与する転写因子Sox17のプロモーター制御下でGFPタンパク質を発現するマウス胎仔を用いてSox17の下流で機能する遺伝子の探索を行うと共に、 Sox17導入細胞におけるTet1の未分化性に対する影響について研究を行っている。
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