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2020 年度 実施状況報告書

ショウジョウバエ複眼におけるタイリングメカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 18K06251
研究機関金沢大学

研究代表者

林 貴史  金沢大学, 新学術創成研究機構, 特任助教 (50553765)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードショウジョウバエ / 複眼 / タイリング / ボロノイ分割 / シミュレーション
研究実績の概要

令和2年度は実験結果の定量的な解析を行った。またコンピュータシミュレーションに関してはバーテックスモデル、ボロノイ分割の両者に関して進展があった。
定量的な解析としては野生型(wt)および小眼変異体(os)において蛹期における個眼の位置関係を調べたところ、隣接する個眼間の前後軸および背腹軸に沿った位置関係が野生型では概ね1.5前後で推移するのに対し、小眼変異体では2.0に近い値で推移していることが明らかになった。ボロノイ分割では母点が直交する軸に対して1.5に近い比率(概ね1.1-1.6)で分布する場合には6角形、2.0に近い比率(概ね1.8-2.2)で分布する場合には4角形を描くことも示されたことから、個眼の前後軸、背腹軸に沿った初期分布のパターンが最終的な多角形パターンの形成に決定的な役割を果たしていることが明らかになった。また、レーザーアブレーション実験から得られた多数の実験結果を統計的に処理し、個眼内における張力の前後軸および背腹軸に沿った相対的な強度を調べ、小眼変異体では野生型に比べ、背腹軸方向に沿った張力が優位に増加していることが示された。
コンピュータシミュレーションについてはバーテックスモデルでは個眼の初期パターンに類似したパターンが再現される一方で、個眼の最終的なパターンは再現できない一方で、ボロノイ分割は最終的なパターンを再現する一方で初期パターンは再現出来ないことが明らかになった。またボロノイパターンの形成には母点からの同心円状の成長が決定的に重要であり、一般的には重み付けしたボロノイ分割を用いることが必要であることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初想定していた実験はほぼ順調に進んでいる。コンピュータシミュレーションについても当初の予定とは異なる方向に進んでいるものの、ボロノイ分割を用いてタイリングパターンの形成機構の本質が明らかにされた。従って実験、シミュレーション共に論文発表に必要なレベルの結果が得られつつあり、また実験結果の精度に関しても、その定量的な解析から精度、再現性が満足のいくものであることが示された。今後はさらに論文発表の過程で要求される実験等について行う必要があると思われるので、そのような実験にも対応していく予定である。

今後の研究の推進方策

令和3年度は研究結果の論文発表をひとつのゴールに据え、そのために必要とされる実験、シミュレーション等を特に優先して行う予定である。そして論文を執筆し、投稿後は査読の過程で要求される実験や解析に対応することになると思われる。またそれと並行し、研究開始時に予定していた細胞骨格とタイリングの関係等に関する実験やシミュレーションのより詳細な解析なども行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

令和2年度はコロナの影響もあり、学会等が基本的にオンライン開催となった結果、学会参加費分などの使用額が当初の予定よりも減った。令和3年度は通常の物品費以外に加えて人件費が必要となったため、かなりの部分は人件費にあてられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Tetragonal versus hexagonal tiling of the Drosophila eye ショウジョウバエ複眼における六角形および四角形タイリング2020

    • 著者名/発表者名
      Takashi Hayashi, Masakazu Akiyama, Shin-Ichiro Ei, Takamichi Sushida , Makoto Sato
    • 学会等名
      日本分子生物学会

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公開日: 2021-12-27  

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