研究課題/領域番号 |
18K06256
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
|
研究機関 | 鹿児島大学 (2021) 大阪大学 (2018-2020) |
研究代表者 |
小沼 健 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (30632103)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | オタマボヤ / 脊索動物 / 動植軸 / 左右軸 / Nodal / Bmp / 母性mRNA / 進化 |
研究成果の概要 |
胚発生の重要なイベントに、胚軸 (動植軸、それに直行する軸、左右軸)の決定がある。本研究では、脊索動物ワカレオタマボヤの特質に着眼して、(1)動植軸と (2) 左右軸ができるしくみを調べた。その結果、 (1) 動植軸については、植物半球後方に局在する母性mRNAを見出し、これらが未受精卵の植物極側に局在することや、この局在が卵形成過程で生じることを見出した。 (2) 左右軸については、左側決定因子Nodalがゲノム上に存在せず、骨形成タンパク質(Bmp.a)が右側に発現することを見出した。これらをもとに「Bmpを介した背腹形成を90°回転させて左右形成に転用する」という仮説を提唱した。
|
自由記述の分野 |
発生生物学
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脊索動物のオタマボヤを活かして、発生学の命題の1つである胚軸の決定機構の理解に貢献した。たとえば (1) 動植軸はすべての動物で未受精卵から存在する。12時間という卵形成の短さを活用することで、卵母細胞の対称性が破られるしくみ、すなわち母性mRNAがいつ、どのように動植軸にそって局在するのかを明らかにした。(2) 左右軸についても、110年前にH.C. Delsman博士が記載した現象を掘り起こし、「Bmpによる背腹形成を転用した左右形成」という概念を提唱した。 このように、独自に開発した「単純な体の脊索動物」を活用して、発生学の新しい研究領域を開拓した。
|