研究課題/領域番号 |
18K06259
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
砂長 毅 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (20448393)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | トランスクリプトーム解析 / 卵形成関連遺伝子 |
研究実績の概要 |
本研究では,ミダレキクイタボヤの有性化のタイミングで発現量が上昇する遺伝子群(65 の cDNA クローン)の発現パターンと機能を調べることにより,生殖細胞の供給源としてはたらく生殖系列幹細胞の分化調節機構およびその幹細胞ニッチの所在,ニッチから幹細胞への分化調節シグナルの実態について明らかにする。 2018 年度は,65 クローンのうち,20 クローンについて発現解析を実施した。そのうち 4 クローンは,生殖系列幹細胞様の間充織細胞での発現が観察された。この 4 クローンについては,siRNA を用いた機能阻害実験を実施し,2 クローンに対する阻害実験において卵形成が阻害される結果を得た。一方で,台風接近にともなう豪雨(特に,平成 30 年 7 月豪雨)のために,実験動物の海上での飼育が困難となったため,生体を使用した発現解析および遺伝子機能の阻害実験を中断せざるを得なかった。 発現解析の準備として,トランスクリプトーム解析を実施し,ミダレキクイタボヤの転写産物の配列情報を網羅的に整備した。2018 年度末においては 4 万個弱の配列として整理し,タンパク質をコードすると予想される配列については,予想一次構造をクエリとしたモチーフ検索および BLAST を使用した類似性検索によるアノテーション作業を進めている。これにより,本研究で解析対象とする cDNA クローンに対する詳細なアノテーションが可能となり,同時に,プローブ合成のために必要な長鎖 cDNA のクローニングが容易となった。2019 年には,実験動物の採集および飼育再開が可能となり,これに合わせて,発現および機能解析を再開した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験動物であるホヤは海上で飼育している。台風接近にともなう豪雨(特に,平成 30 年 7 月豪雨)のために,飼育動物が死滅し,新規に採集するためのフィールドの環境も激変した。ミダレキクイタボヤの採集地の新たな探索と会場の飼育環境の回復までに時間がかかった。そのため,研究の進捗が遅れることになった。
|
今後の研究の推進方策 |
実験動物の飼育は,2018 年度中に再開できたため,研究進行の遅れを取り返すべく実験を進めている。発現解析や機能解析の手法は対象とする遺伝子に関わらず共通している部分が多いため,作業量を増やすことで対応可能と考えている。したがって,研究全体の目的や実験計画の変更せずに進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究材料であるホヤの飼育が自然災害のために中断したため,2018年度に計画していた実験の一部が未実施となった。そのために,実験の進行に伴って必要となる物品,試薬等の購入がなかった。また,同様の理由で成果を得られなかったため,成果発表のための旅費を計画通りに使用できなかった。これらの助成金については,2019年度の実験実施に使用する。旅費については国際学会への参加発表を予定しており,そのための旅費として,2019年度の予算と合わせて使用する。
|