研究課題/領域番号 |
18K06260
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
今村 寿子 九州大学, 医学研究院, 助教 (30523790)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肺 / 数理モデル / 分岐 |
研究実績の概要 |
肺上皮が拡散性成長因子に応答して成長することを表した数理モデル(ラプラシアン成長モデル)について、実験的検証を進めた。FGFファミリー分子に対する応答性について、FGFR下流のMAPKの活性をトランスジェニックマウス由来の組織を用いて調べたところ、組織曲率に応じた活性化亢進の度合いが異なることがわかった。この結果を数理モデルに反映させると、FGFファミリー分子による成長したシスト形状の違いを説明できた。 組織変形は、個々の細胞形状の制御が関与していると考えられ、実際に肺上皮においても頂端収縮によるシスト変形が起きていることを明らかにしてきた。このことを表現した数理モデル(自発曲率モデル)について、組織サイズの拡大と頂端収縮によって、組織形状の不安定化が起きることを数理解析により示すことができた。またラプラシアン成長モデルと自発曲率モデルを組み合わせることで、細胞形状制御によって分岐の太さが調節されうることを示した。 また、連携研究者との共同研究も進めており、モデルの三次元化にむけた新しい枠組みの計算機シミュレーションモデルの構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラプラシアン成長モデルの実験的検証としてFGFファミリー分子によるMAPK活性化の様子を調べることができた。またモデルの三次元化にむけた新しい枠組みの計算機シミュレーションモデルが構築できた。以上のことは当初の研究計画におおむね沿っている。
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今後の研究の推進方策 |
FGF10シグナルとWntシグナルによる分裂方向の制御は、管径に関与すると推測できるが、このことが分岐形成に及ぼす影響は明確ではない。そこで3次元の管腔成長モデルを構築し、曲率依存的成長を組み込んだ上で、分裂方向の影響を調べる。発展として自発曲率の効果も組み込み、本研究から提案できる仮説を立体構造として統合的に示す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究打ち合わせの旅費が共同研究先からの経費から支出できたため、その分の経費を試薬購入にあてることができ、研究計画を進めることができたが、若干の余剰が生じた。
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