研究課題/領域番号 |
18K06261
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永松 剛 九州大学, 医学研究院, 助教 (70453545)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 卵母細胞 |
研究実績の概要 |
これまでに構築した光毒性を抑えたLED光源と東海ヒット社製の培養チャンバーを組み合わせた長期培養のタイムラプス撮影が可能なZeiss社の顕微鏡システム(Zeiss Axio Observer)を用いて胎児卵巣から卵母細胞の分化培養系のライブイメージングによる観察をすすめた。卵母細胞をトラックして解析した結果、シストブレイクダウンはある一定のタイミングで一斉に起きるのではなく、徐々に進行していることが明らかとなった。さらにその際に失われていく細胞は消失する直前に残っている細胞に比べて大きく移動していることを見出した。このことはシストから離脱している可能性を示唆するものであると考えている。 所属研究室内でのチームワークにより構築した多能性幹細胞を用いた体外卵子産生系によりミトコンドリア動態のイメージングを行った。まず、不完全な細胞質分裂によりつながったシスト間でミトコンドリア移動を可視化するために、同一アレルからランダムに異なる波長の蛍光タンパクを発現させるコンストラクト(TREloxMtGR)をROSA26 locusに導入したES細胞を作製した。この細胞を用いて多能性幹細胞を用いた体外卵子産生系を行うことにより同一細胞由来のシスト間でミトコンドリアをAcGFPもしくはDsRed2で標識することが可能となる。そして、多能性幹細胞からエピブラスト様細胞、始原生殖細胞様細胞を経て卵母細胞の分化誘導系でミトコンドリア動態のイメージングを行った。その結果、同一シスト内で異なる蛍光タンパクの発現が観察され、シスト間でミトコンドリアが移動していることを示唆する結果が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ライブイメージングのシステムを用いて卵母細胞の発生過程の解析が進んでいる。その結果、シストブレイクダウンの際における卵母細胞間における動態の差異を見出している。さらにミトコンドリアを標識した解析も進んでおり、おおむね順調に進展していると考えている。今後はさらに詳細な解析を行うために解像度を上げ、1細胞レベルで細胞小器官の挙動等の解析を目指す。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに構築しているライブイメージングシステムを発展させ、今後はさらに詳細な解析を行うために解像度を上げ、1細胞レベルで細胞小器官の挙動等の解析を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ライブイメージングの解析が予想していたよりもスムーズに進んだため、血清やサイトカインといった培養試薬が節約できた。今後一細胞レベルの詳細な解析をするにあたって、細胞小器官を標識するシステムの構築に役立てたいと考えている。
|