エラスチンは脊椎動物にのみ存在する細胞外基質で、哺乳類では皮膚や肺、動脈に存在し、マウスでエラスチン遺伝子をノックアウトすると血管平滑筋が異常増殖し血管が閉塞する。一方、真骨魚類は2種類のエラスチン遺伝子(elna、elnb)を有し、このうち動脈球に発現するelnbを機能阻害すると動脈球に異所的に心筋が分化するという心筋・平滑筋分化制御に関連した機能を示す。動脈球エラスチンの特殊性や発現制御メカニズムを解明することは、進化学的、発生学的に意味があるだけでなく、エラスチンの生体材料としての新規利用法につながる。
|