本研究ではまずマウスの指の関節軟骨が生後約3週間かけて成熟すること、その際には関節において相対している先端側の骨と基部側の骨の関節軟骨同士の相互作用が必要であることを明らかにした。さらに成熟過程にある中節骨の基部側半分を切り出し、基部先端部をひっくり返して元の場所に戻す移植実験を行うと、中節骨の切断部位に、本来関節ではない場所であるにも関わらず関節軟骨と思われる組織が作られることが分かった。これは切断部位に隣接している正常な関節軟骨からの何らかの作用を受けて作られたものと考えられる。以上の結果は、少なくとも生後しばらくの間マウスは指関節を再生する能力を潜在的に持っている可能性を示唆する。
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