糖鎖は様々な生命現象に関連しているが、リソソーム分解以外で糖鎖分解酵素が生体機能の制御に関わっているという報告は多くなかった。今回、精子形成過程において分解酵素Glb1lによる糖鎖リモデリングが、精子機能に必須であることが明らかとなった。今後、基質となる糖鎖、糖タンパク質が同定され、分子メカニズムが明らかになれば、糖鎖生物学及び生殖発生学におけるインパクトは大きいと考える。近年、生殖医療の分野では、不妊の原因の半数は精子の機能異常に起因すると言われている。ヒトにおけるGLB1Lの活性低下と受性能を解析することにより、雄性不妊症スクリーニング法及び、治療法の開発につながる可能性も期待できる。
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