研究課題/領域番号 |
18K06272
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究 |
研究代表者 |
加藤 輝 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 特任助教 (30391915)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 生物画像データ解析 |
研究実績の概要 |
画像データとして得られた生命現象を客観的に記述・評価するためには,その現象を端的に表現する画像上の特徴を的確かつ確実に捉え計測する系が必要となる.このような視座の下,様々な生命現象を捉えた画像データについて解析を行なうソフトウェアを個別の実験形態に合わせ,実装するためのソフトウェア開発基盤の整備を行っている. 生体を構成する細胞群には,多層を成し空間中に高い密度で存在する場合も多く,個別の細胞を峻別することが困難となる.そのような対象において,細胞核を選択的に標識し,識別することによりその立体的な配置について定量的な分析を施すことが可能となる.大量の画像を対象とし,分離が困難な核の位置・形状について比較的高速に抽出する系を開発し,適用した.この処理系をマウス胚性幹細胞群を対象に多視点顕微観察を適用した結果得られた多数の核染色像から核領域を抽出し,それぞれの核内における核内分子の相互配置の関係について統計的解析を施した. 魚の泳動を高速度カメラを用いて撮像した動画の個々のフレームから体幹の屈曲を曲線モデルとして記述する系を開発した.そして,屈曲が最大となる位置の時間発展について解析した. 主たる細胞骨格系の構成因子であるアクチンネットワークの形成過程の分子基盤を解明するため,培養細胞系において,表層アクチン束の状態を表現する特徴としてその密度並びに径を計測する系を開発し,野生型・変異型の比較においてこれら特徴量に統計的な差異を見出した. ニワトリ初期胚の脳の形態形成において,脳原基を構成する個々の細胞が最終的に脳のどの位置を占めるかについての詳細を解析するため,原基細胞をランダムに蛍光標識し,タイムラプス観察した動画からそれらの位置を検出,移動の軌跡を収蔵したデータベースを構築した.これをもとに脳原基内の局所的移動パターンを求め,可視化する技法について開発,解析を行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
開発を進めている画像解析ソフトウェアの基盤部分については,実験者との協働により,円滑に進行している.ただ,昨今の情勢による外出の自粛等により対面による実装の検証作業などの共同作業に支障が生じたため,特にユーザインターフェイス開発の作業に遅滞がみられる.
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今後の研究の推進方策 |
これまで開発作業に遅延の見られたユーザインターフェイス部分の実装に注力する.また,ネットワークを介した協業をさらに推進することで,これまで発生していた問題について緩和する.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨今の情勢によって購入を計画していた物品の仕様について決定が遅れたこと,そして物品の供給量の不足により調達が適わなかったことにより,次年度使用分として持ち越すに至った.
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