研究課題
アントシアニン分子は疎水性のアグリコンに対し、アグリコンもしくは有機酸の水酸基に糖が結合している場合と、糖の水酸基にさらに糖が結合している場合があり、これにより水溶性となる。当研究者は新規修飾酵素としてアグリコンもしくは有機酸の水酸基にグルコースを転移させる液胞型アシルグルコース依存糖転移酵素 (AAGT) を発見したが糖に糖を結合させる AAGT は見出されていない。そこでデルフィニウムの様々な花色変異品種に含まれるアントシアニンの構造を解析した結果、7 位のグルコースに分岐する形でグルコースが 1 個のみ、さらにその先にもう 1 つグルコースが結合した形で修飾が止まっているものが存在することを見出した。このことはグルコースの後にグルコースが順次的に液胞内の酵素によって修飾されること、この品種においてはこの酵素活性が欠損していることが示唆された。また紫ニンジンのアントシアニンは 3 位にガラクトースが結合し、これにキシロースとグルコースが結合している。ガラクトースの先にグルコースを結合させる酵素活性について、アントシアニン合成変異ニンジン培養細胞からの粗酵素抽出液において UDP-glucose を糖供与体とした時には糖転移活性は見られず、アシルグルコースを糖供与体とした時に転移反応が検出された。そこでこの酵素についてニンジン培養細胞粗酵素抽出液から硫安分画の後、Butyl-650C、ヒドロキシアパタイト、HiTrap Q、HiTrap Butyl クロマトグラフィーで順次精製を行ない SDS-ポリアクリルアミド電気泳動上で単一バンドとなるところまで精製した。精製した酵素タンパク質の酵素活性の諸性質を調べたところ、糖供与体として幅広いアシルグルコース分子種と反応する一方で、糖受容体に対する基質特異性は厳密に決定されていることが示された。
すべて 2020 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 備考 (1件)
Sci. Rep.
巻: 10 ページ: 15256
10.1038/s41598-020-72078-4
http://web.tuat.ac.jp/~ozeky/