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2018 年度 実施状況報告書

クレブソルミディウムのTIR1を介さないオーキシン応答を誘導する転写因子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 18K06280
研究機関東京工業大学

研究代表者

堀 孝一  東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (70453967)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード植物進化 / 藻類 / クレブソルミディウム / オーキシン / 車軸藻類
研究実績の概要

本研究課題は、陸上植物の主要なオーキシン応答経路を獲得する前段階にある車軸藻植物門のクレブソルミディウムに着目し、クレブソルミディウムのオーキシン一次応答に関与する転写因子の同定と機能解析を行う事により、陸上植物のオーキシン情報伝達経路の出現過程を解明する事が目標である。本年度行った研究の中でも、クレブソルミディウムにおいてオーキシン一次応答に関わる転写因子を探索するために、ベンサミアナタバコを用いたレポーターアッセイによる候補転写因子のスクリーニングを試みた結果、大きな進展が見られた。
まず、クレブソルミディウムのオーキシン応答性遺伝子のシス配列解析と既知の転写因子結合配列から転写因子候補の絞り込みを行った。その結果、クレブソルミディウムの全遺伝子から推定した、46種類、約240遺伝子の転写因子のうち、3種類16遺伝子がオーキシン一次応答に関わる候補転写因子として絞り込まれた。この中から偽遺伝子を除いた11遺伝子をクローニングし、それぞれをクレブソルミディウムのオーキシン誘導性プロモーターと同時にベンサミアナタバコに導入した。クレブソルミディウムのオーキシン誘導性プロモーターは、我々がオーキシン応答遺伝子として同定したKnLBD1プロモーターを用い、レポーターとしてGUS遺伝子を下流に配置した。
その結果、11の候補のうちの1つの転写因子が、KnLBD1プロモーターと相互作用してGUS活性を誘導していることが明らかとなった。このことは、この転写因子がクレブソルミディウムのオーキシン応答において一次応答を引き起こす有力な候補であることを意味する。したがって、この転写因子がクレブソルミディウムのオーキシン一次応答に関与する事が実証できれば、その特性を明らかにし、他生物種と比較解析を行うことで陸上植物のオーキシン情報伝達経路の出現過程の議論が可能になると期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題を達成するためには、クレブソルミディウムのオーキシン一次応答に関与する転写因子を同定する事が、最も重要であり必須となる。したがって、本年度にその有力な候補が得られたことは、本研究課題の達成に向けて大きく近づくことができたと考えられる。今後、この候補転写因子がオーキシン一次応答に関与しているかどうか、更なる解析を行う事や、機能解析のための技術的なハードルを乗り越える必要があるが、全体として計画通り順調に進行している。

今後の研究の推進方策

この候補転写因子がオーキシン一次応答に関与しているかどうか実証する事が、今後の最優先の課題である。そのために予定通り、KnLBD1プロモーター以外のオーキシン一次応答遺伝子を同定し、候補転写因子が広くオーキシン一次応答に関与しているか実証を目指す。また、候補転写因子の結合配列を同定し、その特性を明らかにするともに、機能解析をおこなうためにクレブソルミディウムの形質転換系を中心とした技術開発を遂行する。

次年度使用額が生じた理由

本研究において、オーキシン一次応答に関わる転写因子を探索するために、ベンサミアナタバコを用いたレポーターアッセイによる候補転写因子のスクリーニングを試みた結果、極めて有力な候補が得られたため、次年度まで継続する予定を早め、その解析を優先した。その結果比較的大きな経費を要する、KnLBD1以外のオーキシン誘導遺伝子を同定する実験は次年度進行させる事としたため、次年度使用額が生じた。この分は、オーキシン誘導遺伝子を同定する実験を予定通り行い、使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 車軸藻植物門クレブソルミディウムにおける原始的オーキシン応答に関わる新規因子の探索2019

    • 著者名/発表者名
      瀬底かなみ、堀孝一、下嶋美恵、太田啓之
    • 学会等名
      第60回日本植物生理学会年会

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公開日: 2019-12-27  

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