花粉の表面は微細な立体構造で覆われている。これはエキシンと呼ばれ、花粉を保護する軽量かつ頑丈な構造である。エキシンの立体構造は植物の種ごとに固有であることから、遺伝子が規定する構造であるといえる。本研究では、シロイヌナズナが作る網目状のエキシンがどのようなしくみで作られるのかを調べた。その結果、キシラン、ペクチン、アラビノガラクタンなどの多糖がエキシン形成初期の花粉の表面に規則的に配置されることを見出した。これらの多糖は発達中のエキシンの表面や空隙(網目)に存在すること、これらの多糖を作れない突然変異体はエキシンの構造が崩れることから、多糖がエキシン形成の鋳型として働くことが明らかになった。
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