研究課題/領域番号 |
18K06283
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
田村 謙太郎 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (40378609)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | シロイヌナズナ / ヌクレオポリン / 病害応答 / 遺伝子発現 / クロマチン構造 |
研究実績の概要 |
核膜孔は核ー細胞質間をつなぐ通り道になっている.核膜孔はヌクレオポリンとよばれるタンパク質によって構成された核膜孔複合体(Nuclear pore compex, NPC)によって形成されている.核膜孔複合体は様々な分子輸送の制御を行うことで,細胞の基本的な生命活動を支えている.我々はこれまでに高等植物を用いて,いくつかのヌクレオポリンが遺伝子発現を介したサリチル酸依存的な免疫応答に関与していることを明らかにしてきた. 本研究では核膜孔複合体とクロマチンの相互作用に着目して,植物の新しい遺伝子発現制御機構の解明を目的としている.本年度は核膜孔複合体が相互作用するクロマチン部位の同定のために,ヌクレオポリンnup136欠損変異体にネイティブプロモーターでドライブしたNUP136-GFPコンストラクトを導入した形質転換体を作製した.共焦点レーザーユニットを用いたイメージングおよび生化学的解析によりGFP融合NUP136タンパク質は,植物細胞内で他のヌクレオポリンと共に核膜孔複合体を形成していることを確認した.またこのコンストラクト導入により,nup136欠損変異体の表現型(早咲き,稔性低下,成長不良)を相補したことから,GFP融合タンパク質は機能的であることが示された.次に,核膜孔複合体と相互作用するDNA領域をゲノムワイドに探索することを目的として,この形質転換体と抗GFP抗体を用いたChIPシーケンス法を行った.その結果,核膜孔複合体の非ランダムな相互作用が検出された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,GFP融合Nup136によって機能を相補した形質転換体の作製および,それを用いたChIPシーケンス解析を行えた.
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今後の研究の推進方策 |
ChIPシーケンス解析より得られた核膜孔複合体相互作用DNA領域内にどのような遺伝子が含まれているか解析する.nup136と野生型との比較トランスクリプトーム解析のデータと照合することで,発現量との相関を探る.着目する遺伝子群は病応答関連遺伝子であるが,それ以外のストレス応答に関与する吉遺伝子が見つかったばあい,nup136欠損変異体を用いて,着目する表現型が観察されるか確認を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) ChIPシーケンス解析のための条件検討および,nup136欠損変異体においてGFP融合NUp136タンパク質を発現する形質転換体の作出に時間がかかったため. (使用計画) 今年度に同定された遺伝子領域と核膜孔複合体の相互作用解析の推進のために使用する.
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