研究課題/領域番号 |
18K06286
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高田 忍 大阪大学, 理学研究科, 助教 (40456992)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 細胞分化 / 位置情報 / 植物発生 / 転写因子 / シロイヌナズナ |
研究実績の概要 |
(1) ATML1の発現を誘導する上流シグナル経路の探索 ATML1の発現を誘導する上流シグナル経路を調べるために、ATML1の発現を可視化するレポーターを持った胚珠を阻害剤や薬剤存在下で培養し、ATML1の最外層特異的な発現パターンに必要なシグナル伝達経路を調べた。現在までのところ、球状胚や心臓型胚におけるATML1の発現パターンに影響を与える阻害剤は見つかっていない。これらの薬剤処理は発芽後のATML1誘導には必要であったことから、胚発生における表皮分化と、発芽後に外科的な刺激を与えたことによるATML1誘導には異なるシグナル経路が関わっている可能性が示唆された。今後はより初期の胚における阻害剤の効果を調べてこのアイデアを検証する必要がある。 (2) ATML1の下流遺伝子の解析 ATML1の転写後調節に関わる遺伝子や、表皮の性質を決めるATML1のエフェクター遺伝子を明らかにするために、ATML1の下流で働く遺伝子を調べた。ATML1のエンハンサー変異体の原因遺伝子について、次世代シークエンスデータを用いて発現パターンや発現の変動を調べたところ、ATML1の過剰発現によって発現量に影響はなかった。従って、この遺伝子はATML1の標的遺伝子ではなく、ATML1転写因子の活性・効果に影響を与える遺伝子である可能性が示唆された。また、次世代シークエンスデータを用いて、ATML1の過剰発現によって有意に発現が変動する遺伝子を多数同定した。学会の年会に参加して実験経過の一部を発表し、情報収集をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の研究目標は概ね達成できた。また、3回の学会発表をおこない、関連する研究成果の一部を論文として報告することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
(1) ATML1の転写後制御に関わるドメインの同定 ATML1の単一、もしくは複数のドメインを欠失したタンパク質をGFPとの融合タンパク質として作らせるコンストラクトを作製する。4月から10月ごろに、遺伝子工キットやプラスチック消耗品を購入する。 (2) ATML1の下流遺伝子の解析 ATML1の下流遺伝子候補(DTL遺伝子)の発現パターンや表皮分化における役割を調べるために、DTL遺伝子の転写活性やタンパク質の局在を可視化するコンストラクトや、過剰発現実験用のコンストラクトを作製する。5月から10月ごろに、遺伝子工キットやプラスチック消耗品を購入する。 学会の年会等に参加して実験経過発表・情報収集をおこなうための旅費を支出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:原因遺伝子の同定にかかる次世代シークエンス費用を共同研究者が負担したため。また、平成30年度は次世代シークエンスデータ解析に予想以上の時間がかかったため、候補遺伝子の機能解析を次年度以降に開始することとしたため。 使用計画:ドメイン解析や下流遺伝子候補(DTL遺伝子)の機能解析用のコンストラクトを作製するため、遺伝子工学キットやプラスチック消耗品を購入する。平成30年度の未使用額をシークエンス解析やqPCRによる定量的な発現解析、研究員の雇用などの経費に充てたい。
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