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2018 年度 実施状況報告書

高頻度に起こる植物のゲノム倍加の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 18K06288
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

小牧 伸一郎  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (50584588)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード紡錘体形成チェックポイント / ゲノム倍加
研究実績の概要

研究代表者はこれまでに、植物細胞が継続的なストレスに晒されると、細胞周期チェックポイントの一つであるSpindle assembly checkpoint (SAC) をシャットオフすることでゲノム倍加を引き起こすことを見出した。本研究では「SACをシャットオフする機構」に注目し、上流因子としてSACの活性化に重要なMPS1そしてSACの下流として働き、ターゲットを直接阻害するBUBR1/BMF2の制御機構を理解することで、植物が高頻度で起こすゲノム倍加の原因を突き止めることを目的としている。
本年度はMPS1の機能に関わると考えられるChromosomal Passenger Complex (CPC)に注目し研究を行った。動物のCPCはAurora kinase, INCENP, SurvivinそしてBorealinの4種類のタンパク質複合体から構成されることが知られているが、植物ではこれまでSurvivinとBorealinのホモログが見つかっていなかった。研究代表者はこのうちBorealinのホモログをモデル植物であるシロイヌナズナで発見し、その機能解析を行った。その結果、植物のBorealinも動物と同様にキネトコアへ局在し、他のCPC構成因子であるINCENPとAurora kinaseと共局在することがわかった。また、シロイヌナズナに存在する3つのAurora kinaseのうち、Aurora kinase 3のみがCPCとして機能することを明らかとした。さらにCRISPRを用いてBorealinの変異体を作製したところ、knockout変異体は致死であることがわかり、その原因がおもに雌側の配偶子形成の異常によることを突き止めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

MPS1の制御に関与すると思われるChromosomal Passenger Complex (CPC)構成因子のBorealinホモログを植物で発見した。その機能解析から、植物も動物と同様に機能的なCPCを持つことを示すことができたため、本年度の目標は達成したと考える。
しかし、Borealinのknockout変異体が致死であるために、BorealinがMPS1の制御に関わっていることを証明するには至っておらず、来年度の課題として残っている。

今後の研究の推進方策

Borealinのknockout変異体は致死であるため、Borealin変異体でのMPS1の局在解析や、SACの活性測定を行うことが出来ていない。
そこで本年度は誘導型のRNAiを用いることでBorealinの発現を一過的に抑制し、その植物体内でのSACの活性を調べることとする。
また、もう一つの研究課題であるBUBR1/BMF2の発現量とSACのシャットオフとの関係を明らかとするために、発現量が異なるBUBR1/BMF2植物体の選抜および確立を進める。

次年度使用額が生じた理由

植物体からのタンパク質精製と免疫沈降を用いた実験を計画していたが、使用する植物体の確立に時間がかかったため実行できておらず、その分の費用を次年度に繰り越すことにした。使用計画に変更はなく、タンパク質精製と免疫沈降に関する物品を購入する予定にしている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] Hamburg University(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Hamburg University
  • [雑誌論文] 植物におけるSpindle assembly checkpoint2018

    • 著者名/発表者名
      小牧伸一郎・橋本隆
    • 雑誌名

      BSJ-Review

      巻: 9 ページ: 169-177

    • DOI

      10.24480/bsj-review.9c7.00146

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] The spindle assembly checkpoint as a gatekeeper of polyploidization2018

    • 著者名/発表者名
      Komaki S, Schnittger A, Hashimoto T.
    • 学会等名
      The 90th Annual Meeting of the Genetics Society of Japan
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Identification and characterization of a putative Borealin in Arabidopsis2018

    • 著者名/発表者名
      Komaki S, Hamamura Y, Hesse M, Hashimoto T, Schnittger A.
    • 学会等名
      第60回日本植物生理学会

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公開日: 2019-12-27  

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