ストロミュールは、古くは19世紀後半から文献記載(スケッチ)がありながら(Schimper (1883) 等)、未だその形成機構は解明されていない。suba1変異体の原因遺伝子であるTGD5がコードするタンパク質は小胞体(ER)からプラスチドへの脂質輸送に関与していることから、①非葉肉プラスチドではER→プラスチド間脂質輸送が正常形態維持に必須であること、②葉肉細胞葉緑体と非葉肉プラスチドとでは、脂質合成経路の違いを反映して形態維持の仕組みも異なること、が示唆された。本研究成果は、140年来の謎であるストロミュール形成機構について「ERからの脂質輸送」という新たな角度から光を当てるものである。
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