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2019 年度 実施状況報告書

色素体とミトコンドリアの分裂装置の形態構造と分子動作機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K06325
研究機関東京大学

研究代表者

茂木 大和 (吉田大和)  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (80785444)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード葉緑体分裂 / ミトコンドリア分裂 / オルガネラ分裂周期 / ミトコンドリアDNA
研究実績の概要

本年度は、研究計画に基づきミトコンドリアと葉緑体の分裂装置のプロテオーム解析結果を基に、候補構成タンパク質をコードしている遺伝子の機能解析を実行した。解析の結果、これまで全く予想されていなかった動物に広く保存されている遺伝子が、ミトコンドリアゲノムDNAに結合し、ミトコンドリア遺伝子の発現を制御していることが明らかとなった。本解析によって、全く明らかとなっていなかったオルガネラの分裂増殖周期(ミトコンドリア周期)の実態が明らかになる可能性が高い。この発見は、本研究計画目標においても極めて重要な発見であり、ミトコンドリア分裂装置の形成を制御するカギとなる分子機構の可能性が高い。また葉緑体分裂装置の分子動態の解析も目覚ましい進展を果たしている。葉緑体分裂関与ダイナミン関連タンパク質に蛍光タンパクタグを融合し、相同組換えによる形質転換を行った結果、多数の形質転換株を作成することに成功した。超高感度顕微鏡観察による一分子分解能で動態を解析した結果、葉緑体分裂装置の収縮に伴ってダイナミンタンパク質は局所的な蛍光輝度が指数関数的な増加を示した。一方、総蛍光輝度は単調増加を示しており、これまで分かっていなかった分裂装置上におけるタンパク質分子の動態が少しずつ明らかとなり始めている。現在、これらの二つの研究結果を論文投稿の準備を進めている。またこのほか、ミトコンドリアや葉緑体といった膜型オルガネラだけでなく、非膜型オルガネラの細胞内機能に関係すると思われる遺伝子も複数見つかっており、今後さらに詳細機能の解析を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

これまでに5つの候補遺伝子のポリクローナル抗体を作成し、アフィニティー精製を行うことまで完了し、さらに実際の細胞内機能や分子機能に関しても多くの実験結果を得ることに成功している。当初の予定よりも順調な進展を示しており、これらの課題に関しては早急に論文発表まで行う予定である。また顕微鏡システムの開発も順調に推移しており、解析対象タンパク質を1分子分解能で解析することも可能となった。同システムは新規オルガネラ分裂遺伝子の機能解析にも利用しており、今後はより核心に迫る分子機能の解明が行えると思われる。

今後の研究の推進方策

今年度は、解析に着手したいずれの課題に関しても目覚ましい進展を示している。極めて重要な発見をすることに成功しているため、今年度中に国際氏へ論文発表することを目指している。また、当初の研究計画よりも順調に進展しているため、本年度は申請している研究計画をさらに推し進めるうえで極めて重要なゲノム編集技術CRISPR-Cas9を基盤とした新たな分子生物学的解析手法の確立も試みる予定である。
今後は、解析規模を拡大し、対象とする候補遺伝子の数を増やして機能解析を実行する。
また前年度は達成できなかった超解像イメージングによるオルガネラ分裂装置の解析にも引き続き取り組む。

次年度使用額が生じた理由

今年度は予定していた出張費が掛からなかったことなどの理由のため、次年度使用額85670円が生じた。計画三年目では、研究計画が順調に推移していることもあり、当初の予定よりも次世代シークエンサーを使ったRNA-seq解析費が掛かる予定であるため、次年度使用額85670円を充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 蛍光タグを融合した色素体分裂装置の三次元構造と分子動作機序の解析2019

    • 著者名/発表者名
      吉田大和、茂木祐子
    • 学会等名
      日本植物学会第83回大会
  • [学会発表] 一分子イメージングと多階層オミクスを基盤としたミトコンドリア・葉緑体分裂増殖機構の解析2019

    • 著者名/発表者名
      吉田大和
    • 学会等名
      第52回日本原生生物学会大会
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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