研究実績の概要 |
令和元年度:①骨修復過程における破骨細胞と骨芽細胞のコミュニケーションの可視化(北村・小林担当)破骨細胞を青色蛍光タンパク(trap:GFPhigh)、骨芽細胞を赤色蛍光タンパク(osterix:mCherry+)で可視化した遺伝子組み換えゼブラフィッシュのウロコに切り込みを入れ骨折モデルを作製し、切り込み後の修復過程を解析した。その結果、骨修復に必要な成熟多核破骨細胞への分化段階で、前破骨細胞が盛んに骨芽細胞と接触相互作用することや、骨芽細胞由来の細胞外小胞を取り込む様子を初めて観察・記録した。 ②フローサイトメトリー法によるセルソーティング(北村・小林・古澤)蛍光ラベルした各修復時期の破骨系細胞、骨芽系細胞および骨芽細胞由来の細胞外小胞をGFP(破骨細胞), mCherry(骨芽細胞), Hoehigh(核染色)の蛍光強度の違いを利用したセルソーターにより分取できた。 ③次世代DNAシークエンサーによるトランスクリプトーム解析(小林・古澤・北村)セルソーターにより分取した破骨細胞、骨芽細胞および骨芽細胞由来の細胞外小胞の網羅的遺伝子発現解析をした。 研究期間全体:哺乳類モデルでは、見ることのできない骨代謝をウロコの特徴を活かし体表面から直接ラベルされた破骨細胞と骨芽細胞の挙動を観察できた。つまり、骨リモデリングの初期段階での破骨細胞分化に際し、前破骨細胞と骨芽細胞との接触相互作用や前破骨細胞が骨芽細胞由来の細胞外小胞の取り込みを行っている画像を捉えることに成功した。加えて、網羅的遺伝子発現解析から破骨細胞分化に骨芽細胞由来のリガンド(RANKL)が重要であることが改めて示された。これらの結果をCommunications Biology誌へ投稿し、受理された。
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