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2018 年度 実施状況報告書

学習による出力行動を環境適応的に変化させる作動原理の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K06341
研究機関学習院大学

研究代表者

井上 武  学習院大学, 理学部, 助教 (40391867)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード脳高次機能 / プラナリア / 定量行動学
研究実績の概要

動物が、環境変化を高感度に感知し、適応的な学習や行動様式の変化は動物の生存戦略に重要であるが、その機構の大部分は不明である。本研究では、学習により行動様式を環境適応的に変化させる機構について、プラナリアをモデルとして解明すること目的としている。本年度は、餌の匂いと光の学習実験系の検討をおこなった。まず、餌の匂い物質としてアミノ酸類、糖類、脂肪酸類のそれぞれの分子に対する反応性を測定することで、反応性の高い分子と濃度を明らかにした。特に、炭素数16-20の脂肪酸と高分子糖(グリコーゲン)に高い反応性を認めた。さらに、飼育水や生息域である水中に含まれるカルシウムイオンの濃度によって、餌の匂いを感じる化学受容器の活性が変化することを発見した。外部に存在するイオンが神経系の活性に必要であることを見いだした始めの例であるため、この発見を活用し、学習効果を人為的に操作する方法を確立中である。
これまでの解析でオクトパミン神経が、餌の匂いと光の連合学習に関わることを示唆する結果を得ている。しかし、オ クトパミンが摂食行動を促進する可能性については既に指摘されている(Sewell, et al, Behav Biol, 1975)。そこでまず、Readyknock法により脳のオクトパミン神経と胴体部(咽頭)のオクトパミン神経が嗅覚や摂食行動に関わるかを検討した。その結果、脳のオクトパミン神経を特異的に阻害したプラナリアでは、匂い応答行動および摂食行動には全く異常は認められなかった。この結果は、脳のオクトパミン神経は、嗅覚や摂食行動の制御には関わっておらず、匂いと光の連合学習を調整していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

オクトパミン神経が、学習だけではなく、嗅覚や摂食行動に関わっている可能性を否定することが本研究を遂行する上で重要な課題となっていたが、脳のオクトパミン神経の機能を特定できた点で評価できる。また、これによって今後も計画通りに研究を進行できることが期待できる。

今後の研究の推進方策

本年度は、おおむね順調に計画に沿って研究が進展したため、次年度以降も計画に沿って遂行志手行く予定である。

次年度使用額が生じた理由

予定していた機器の購入が、組合わせによって作成だきたことにより、研究に遅延なく費用を抑えることができた。一方で、次年度以降の実験では、多くの試薬等が必要となることが予想されるため、こちらと合わることで研究を計画通りに遂行していきたい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Coordination between binocular field and spontaneous self-motion specifies the efficiency of planarians' photo-response orientation behavior2018

    • 著者名/発表者名
      Akiyama, Y. Agata, K. Inoue, T.
    • 雑誌名

      Commun Biol

      巻: 1 ページ: 148

    • DOI

      10.1038/s42003-018-0151-2

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] "Ion concentration of the breeding water affects feeding behavior in planarian Dugesia japonica"2018

    • 著者名/発表者名
      M. Mori, M. Ishida, N. Kumagai, Y. Sato, K. Agata, T. Inoue
    • 学会等名
      2018 International Planarian Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] Co-adaptation between sensory structures and spontaneous self-motion for ensuring the effectiveness of multiple behaviors2018

    • 著者名/発表者名
      T. Inoue, Y. Akiyama, K. Agata
    • 学会等名
      2018 International Planarian Meeting
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Close relationship between the eye architecture and the spontaneous self-motion establishes robust photo-response orientation behavior in planarians2018

    • 著者名/発表者名
      T. Inoue
    • 学会等名
      The International Research Symposium on Germness and Pluripotency of the Planarians in comparison with the Fly and Mouse Systems
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] “扁形動物と脳の再生”, 遺伝子から解き明かす脳の不思議な世界. 村上安則, 野村真, 滋野修一 編2018

    • 著者名/発表者名
      井上 武
    • 総ページ数
      520
    • 出版者
      一色出版
    • ISBN
      4909383050

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公開日: 2022-12-28  

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