研究課題
本年度は最終年度であり、学習による出力行動の変化の謎を解くカギとなる周期性自発運動について解析した。まず、これまで解析が困難であった環境情報をプラナリアに与えない環境を作成して、さらにその条件下において長時間観察をする手法の開発を行った。開発は研究期間を通して行っており、2年目に手法の確立に成功した。この手法を用いて詳細に解析を行った結果、プラナリアは環境情報がない条件下でも自発的に運動の開始と停止を周期的に繰り返すことを発見した。また、シナプス小胞の放出に必須であるシナプトタグミンタンパク質をコードする遺伝子をRNAi法によって脳特異的にノックダウンした個体を作成し、これを用いて解析したところ周期性自発運動の周期が乱れ、活動量の減少が認められた。この結果から、周期性自発運動には脳の活動が必要であることが示された。この内容についてはオンラインで開催された第27回時間生物学会で発表し、ポスター賞を受賞している。加えて、この周期性自発運動を阻害した場合には学習による行動が出力されなくなったことから、周期性自発運動が学習行動を成立させるのに深く関わっている可能性についても突き止めることができた。本年度途中に学習院大学から鳥取大学への異動があったことおよび新型コロナウイルスによって研究する時間が制限されたものの当初の計画に近いかたちで実験を完了することができた。一方で、学会の中止が相次ぎ発表の機会が減った。現在、論文発表に向けて準備を進めているところである。
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