研究実績の概要 |
グリア細胞のクラスターによる睡眠覚醒制御への影響を調べるために、温度依存性チャネルであるdTrpA1をGAL4/UASシステムを用いて様々なGAL4ドライバーで発 現させ、温度変化による睡眠量の変化を解析した。一部のGAL4ドライバーでdTrpA1を発現させた個体では、温度上昇とともに睡眠時間の減少が見られ、覚醒の誘 導に働いていることが観察された。一方で温度上昇とともに睡眠時間の増加を示す個体も一部のGAL4ドライバーでは認められ、睡眠誘導もしくは歩行への影響が あるものと考えられた。 CRISPR/Cas9を用いてドーパミン受容体変異体(D1R1受容体変異体ならびにD1R2受容体変異体)を作成し、得られたそれぞれの個体において睡眠解析を実施し た。本研究成果は共同研究結果として論文発表を行った(Akiba et al., 2020, EJN)。 末梢神経損傷に伴う軸索クリアランスにはグリア細胞が関与していることが知られており、睡眠覚醒がこれら現象にどのように関与しているかについても検討し た。GAL4/UASシステムを用いて羽や触角の神経細胞にGFPを発現させた個体を用いて、これらの組織を切除した後の軸索クリアランスを検討した。睡眠制御の方 法としては、カフェインや機会的振動による睡眠時間の減少、3-IYやガボキサドールによる睡眠時間の増加を介入として用いた。睡眠時間を減少させた個体では 末梢神経損傷後の軸索クリアランスの遅延が認められた。コロナ感染症の拡大により、研究遂行が大幅に遅延した。
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