研究課題/領域番号 |
18K06346
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
宮崎 佳代子 沖縄科学技術大学院大学, 神経計算ユニット, 研究員 (80426577)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | セロトニン / 報酬待機行動 / 光操作 / Ca画像化 |
研究実績の概要 |
申請者はこれまでの研究で、将来の報酬のための待機行動における時間的な辛抱強さを調節するという背側縫線核セロトニンの新たな機能的役割を明らかにしている。背側縫線核へは内側前頭前野、前頭眼窩野、手綱核からの強い投射入力があり、それらが背側縫線核で統合され、いつ得られるか分からない報酬のためにどれくらい待つかの意思決定に繋がっていることが予測される。本研究は光操作技術を用いて不活性化のタイミングを光照射により制御しながら、同時に内視鏡型蛍光顕微鏡(Inscopix nVista)によるカルシウムイメージングで報酬待機行動中の背側縫線核のセロトニン細胞群の活動を記録することで、各脳部位からの入力ならびにセロトニン細胞群の活動パターンがどのように動物の待機時間に影響を及ぼしているかを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度には、複数の予備実験を経てInscopix nVistaを用いたカルシウムイメージングによる背側縫線核セロトニン神経活動記録のための実験系を確立した。Inscopix nVistaを用いたセロトニン神経のCa画像化はこれまでにまだ報告例が無く試行錯誤であったこと、脳の深部からの記録であることから画像が得られるまでに一進一退の状況が続いた。また記録可能になった後も画像に明瞭さを欠き、正確な情報を得ることは難しかったが、予備実験を重ね、現在麻酔下で背側縫線核セロトニン神経活動を比較的クリアに記録することが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は報酬待機行動課題遂行中のマウスの背側縫線核セロトニン神経活動をInscopix nVistaによりCa画像化する実験を行う。さらに投射元として本研究で注目する前頭前野、前頭眼窩野、および手綱核それぞれの脳領域を薬理的に抑制(ムシモール注入)したときの背側縫線核セロトニン神経活動への影響、また行動への影響を同時に観察する実験を行う。無報酬試行中にマウスがどれくらいの時間(報酬が出ると信じて)待つかに注目し、どの脳領域を抑制したときに最も待機時間が短くなるかを調べる。コントロールとしてムシモール注入の前日には生理食塩水を同脳領域に注入した条件で実験を行う。ムシモール注入した実験後は次の実験開始まで1日間隔を空け薬の影響を消去する。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費に関して、予定していた国内学会への参加を次年度に持ち越したことと、別予算で他の旅費を補うことが可能となったためH30年度の使用額が変更した。差額については次年度の実験用消耗品予算として用いる予定である。
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