本研究では絶食によって生じるマウスの休眠をMRI内で誘導し、マウス休眠における脳の局所的活動ダイナミクスを観察することが目的である。これまでに「休眠を誘導しながら機能的MRIを測定する」こと、すなわち絶食性休眠をMRI内で安定的に実現できていなかったが、2019年度に申請者が開発したQIHによってMRI内でも休眠を安定的に誘導できることに目処がついたため、絶食性休眠ではなくQIHをMRI内で誘導する方針に転換した。2020年度は目標2「MRI装置内で全身の代謝を測定する」ならびに目標3「低代謝に至る脳活動ダイナミクスを明らかにする」をすすめたが、最終的にMRIで撮像するには至らなかった。原因としては「MRI装置内で全身の代謝を測定する」に関しては、同装置内での呼吸波形の取得まで行っているが、呼吸波形から代謝の推定が実現していない事が挙げられる。呼吸波形から代謝を推定するためのサンプル数が少ないことが一因であると考えているため、より多くの呼吸波形を今後取得することで解決を目指す。当面の対応としては、MRI内における代謝測定を実現するために呼吸波形を解析することをめざしていたが、直腸温のみで代謝評価を行うことにした。また、QIHをMRI内で誘導するための動物実験は準備を進めているところだが、リソースの問題もありいまだ実現していない。本予算の期間は逸脱するが、2021年度のうちにQIHをMRIで評価する予定である。
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