3倍体のリュウキュウナミウズムシでは、雄性生殖細胞系列の減数第一分裂前期は既に染色体が1セット削減され2倍体となっているのに対し、雌性生殖細胞系列は減数第一分裂中期まで3倍体が維持されている。このことから雌性生殖細胞の減数分裂における染色他分配は通常のものとは異なっていると考えられる。 2019年は分裂装置に着目し、雌性の減数第一分裂における紡錘体の動態と染色体の挙動を詳細に観察し、2対の染色体が対合・分配し、分裂装置に組み込まれ、対合しない1価染色体は分裂装置からは外れているが、微小管と結合していることを示した。本年度はさらに、本学医学部が所蔵する超解像顕微鏡を用いて、詳細な観察を目指し、固定方法、染色方法などについて検討してきたが、良好な画像は未だ得られていない。 また、卵母細胞における減数第一分裂時の紡錘体の動態と染色体の挙動を観察するためのコントロールとして、2倍体個体における挙動の観察が必要となったので、3倍体個体の掛け合わせ実験より2倍体の無性生殖個体#39を作出し、これらを有性化した。2倍体有性化個体は完成し、準備は完了した。また、これを用いて基礎生物学研究所において、ゲノム解読も進行中である。 本年度の掲載論文で「雌性生殖細胞の分化においてDrPiwi-1とDrPiwi-2の2種類のPIWIタンパク質が関与する」ことを示した。これらのPIWIと減数分裂との関係を示すために、これらに関わるpiRNAの探索を開始した。
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