研究課題/領域番号 |
18K06356
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
鏡 雅代 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 室長 (70399484)
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研究分担者 |
高田 修治 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部, 部長 (20382856)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | miRNA / 肝芽腫 / 胎盤 / インプリンティング |
研究実績の概要 |
本研究では、14番染色体インプリンティング領域に多数含まれ、母性発現するmiRNA群の機能を明らかにすることを目的としている。昨年度は、ヒト14q32.2領域のマウス相同領域内のmiRNA遺伝子群を欠失したマウス解析にて胎盤形成異常を同定した。先行研究で認めた出生後の低血糖に対する反応性の低下による出生後早期致死は我々のモデルでは認められなかったが、糖代謝関連の遺伝子の発現変動は認めていることから、マウスのバックラウンドを変えることで、胎盤、肝臓に関連するphonotypeがより明瞭になることを期待し、マウスの交配を進めている。 ヒト14番染色体インプリンティング領域遺伝子の肝芽腫発症への関連性についての検討では、ヒト正常肝組織および14サンプルを超える肝芽腫組織RNAを用いた発現解析、メチル化解析、染色体構造解析を行った。9腫瘍組織で遺伝子発現の変動が大きい遺伝子上位5%に14番染色体インプリンティング遺伝子が含まれていた。本研究は、14番染色体父性片親性ダイソミーで肝芽腫発症が多いことから着想した研究であり、本領域のインプリンティング遺伝子の発現異常が肝芽腫発症と関連していることを示唆するデータである。ただ、14番染色体父性片親性ダイソミーと同じ発現異常パターンを示している遺伝子と、逆の発現異常パターンを示している遺伝子があり、後者は腫瘍に対し反応性に発現が増加している可能性がある。今後、同じく片親性発現を示すmiRNAと合わせた解析を進めていく。染色体構造異常、メチル化パターンと14番染色体遺伝子発現異常との関連性は今のところはっきりとしたものは認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスモデルを使った胎盤、肝臓の解析では、肝臓の解析結果が先行研究とことなり、WTと表現型の差は認められず、マウスバックグランドを変えての解析が必要ということになり、現在、交配を重ねていることから研究に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
バックグランドを変えたマウスモデル(DBA)を用いて、胎盤の組織学的検討を行う。加えて、先行研究と同様に、出生直後の低血糖への反応性の遅れから生じる致死性が生じるのかを検討する。加えて、肝臓組織を用いて、発現アレイ解析を行い、すでに得ているBL6マウスモデルのでデータと比較検討を行う。 ヒト肝芽腫サンプルを用いた解析ではmiRNAアレイデータと合わせて、14番染色体インプリンティング遺伝子発現の変動について検討し、論文化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
先行研究で残っていた試薬を使うことができたため、本年度購入する必要がなかった。
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