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2023 年度 実績報告書

オーソログ遺伝子群を用いた嗅覚受容体遺伝子のゲノム進化解析と環境要因との相関

研究課題

研究課題/領域番号 18K06359
研究機関宮崎大学

研究代表者

新村 芳人  宮崎大学, 農学部, 教授 (90396979)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード嗅覚受容体 / 遺伝子ファミリー / 哺乳類 / フェロモン / ゲノム進化 / 多型
研究実績の概要

2023年度は、以下の研究実績を得た。
霊長類は優れた視覚をもつが、嗅覚は他の哺乳類に比べて退化している。また、イルカは聴覚(反響定位)をもちいて獲物を探すことができるが、味覚・嗅覚などの化学感覚は退化している。このように、進化の過程で異なる感覚間でトレード・オフが起きることが知られている。では、嗅覚・味覚・フェロモンという化学感覚同士では、このようなトレード・オフは起きるのだろうか?このことを調べるため、齧歯類のヤマアラシ亜目を用いて解析を行った。ヤマアラシ亜目は生態的・形態的に多様であることに加え、嗅覚・味覚・フェロモンの受容体遺伝子数が多く、本解析に最適である。全ゲノム配列が利用可能な17種のヤマアラシ亜目に対し、嗅覚・味覚・フェロモンの受容体であるOR, T2R, V1R, V2Rの同定を行った。そして、17種間でオーソログ遺伝子群を同定し、ヤマアラシ亜目の進化過程における遺伝子の増減数を推定した。その結果、上記4種の受容体遺伝子は、増減が同調していることが明らかになった。すなわち、化学感覚間においては、感覚のトレード・オフが起きるのではなく、同調して進化している。また、遺伝子の増減の速度は、V1R・V2R遺伝子が最も速く、次いでOR遺伝子、最も遅いのがT2R遺伝子であった。この結果は、種特異的なフェロモン、生育環境に依存する匂い物質、そして生物間で共通した毒物(苦味物質)という三者のリガンドの違いを反映していると考えられる。以上の成果は、Molecular Biology and Evolution誌に掲載された。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] パラナ連邦大学(ブラジル)

    • 国名
      ブラジル
    • 外国機関名
      パラナ連邦大学
  • [国際共同研究] ガーナ大学(ガーナ)

    • 国名
      ガーナ
    • 外国機関名
      ガーナ大学
  • [国際共同研究] Waltham Petcare Institute(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      Waltham Petcare Institute
  • [雑誌論文] Synchronized Expansion and Contraction of Olfactory, Vomeronasal, and Taste Receptor Gene Families in Hystricomorph Rodents2024

    • 著者名/発表者名
      Niimura Y, Biswa BB, Kishida T, Toyoda A, Fujiwara K, Ito M, Touhara K, Inoue-Murayama M, Jenkins SH, Adenyo C, Kayang BB, Koide T.
    • 雑誌名

      Molecular Biology and Evolution

      巻: 41 ページ: msae071

    • DOI

      10.1093/molbev/msae071

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Genetic variation in the human olfactory receptor OR5AN1 associates with the perception of musks2023

    • 著者名/発表者名
      Sato-Akuhara N, Trimmer C, Keller A, Niimura Y, Shirasu M, Mainland JD, Touhara K.
    • 雑誌名

      Chemical Senses

      巻: 48 ページ: bjac037

    • DOI

      10.1093/chemse/bjac037

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 香りを感じるメカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      新村芳人
    • 雑誌名

      CONSMETIC STAGE

      巻: 17 ページ: 27-33

  • [雑誌論文] フェロモン遺伝子の進化―血と毒から異性を誘惑するフェロモンができた!?2023

    • 著者名/発表者名
      新村芳人
    • 雑誌名

      科学

      巻: 93 ページ: 402-407

  • [学会発表] Evolutionary dynamics of chemosensory receptor genes in Afrotheria2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤優海、新村芳人
    • 学会等名
      日本進化学会第25回大会
    • 国際学会
  • [学会発表] Birth-and-death evolution と嗅覚受容体遺伝子2023

    • 著者名/発表者名
      新村芳人
    • 学会等名
      日本進化学会第25回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] イヌの化学感覚受容体遺伝子における多型解析2023

    • 著者名/発表者名
      井上日湧河、Gibbs Matthew、Scott McGrane、新村芳人
    • 学会等名
      日本味と匂学会第57回大会
  • [図書] 霊長類学の百科事典2023

    • 著者名/発表者名
      新村芳人
    • 総ページ数
      716
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      4621308041

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公開日: 2024-12-25  

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