研究実績の概要 |
ソメワケササクレヤモリ(Paroedura picta)はZZ/ZW型の性染色体構成を持つと考えられていることから、C-ヘテロクロマチン、テロメア配列、マイクロサテライトDNA配列のコピー数を指標に性染色体の同定を試みたが、これらに違いがみられる染色体対は同定できなかった。そこで、過去の我々の研究(Kawai et al. Chromosoma 118, 43-51, 2009)でZW型の性染色体の遺伝連鎖群が同定され、さらにはZ-W染色体間で構造変化が生じた領域が明らかにされているミナミヤモリ(Gekko hokouensis)との比較ゲノム解析を行うことによって、ソメワケササクレヤモリの性分化関連候補遺伝子の検出を試みることにした。ソメワケササクレヤモリの全ゲノム配列はすでに読まれていることから、本研究ではPacBio RSIIシステムを用いてミナミヤモリのZW型雌個体の全ゲノム配列解析を実施し、X30の長鎖リード情報を得て、そのアセンブリングを終了した。さらに、ミナミヤモリの雌雄の生殖腺から、Z-W染色体間で構造変化がみられるゲノム領域に存在するDMRT1とAco1遺伝子について、雌雄間で構造の違いがみられるcDNAクローンを得た。そして、ソメワケササクレヤモリでもこれらの遺伝子のZWホモログの単離を行うとともに、既存のソメワケササクレヤモリの全ゲノム配列と本研究で得られたミナミヤモリの情報をもとに、ソメワケササクレヤモリのZ-W間染色体間で分化が生じたゲノム領域を特定し、性分化に関わる候補領域の塩基配列を比較する。
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