カイダコ類からタコブネおよびアオイガイの2種について、隠岐海域から季節的に漁獲される個体を継続的にサンプリングを行い、統合オミクス解析に供した。 得られたカイダコの貝殻を破砕・試薬処理によって溶解し、外注により貝殻タンパク画分をLC-MS/MS分析を行った。EDTA水溶液による可能性・不溶性画分の両方についてタンパク質溶液を作成し、10ug相当を短距離展開ののちゲル中でトリプシン分解し、LC-MS分析に供した。アオイガイの可溶性画分から30件、不溶性画分から44件のタンパク質配列を得た。同様に、タコブネにおいて可溶性画分から9件、不溶性画分から45件のタンパク質配列を得た。アオイガイでは13種類、タコブネでは3種類のタンパク質が、可溶性と不溶性を共通しており示しました。最終的にアオイガイでは29個、タコブネでは31個のユニークなタンパク質が見つかった。高頻度で。最も頻度の高いタンパク質はkierin/chordin-like proteinとグリピカンでであった。これらは貝殻タンパク質としては非典型的なものであり、カイダコの殻は軟体動物の真の殻とは異なる構成のタンパク質成分であるを示唆している。 一方、最も注目すべき発見の一つは、Pif様タンパク質である。さらに、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、チオレドキシン(TRX)がみつかり、部分的には貝殻タンパク質との高い共通性を示すことが明らかとなった。 また、アオイガイのドラフトゲノムについて、ゲノムビューワーによる公開準備を行った。さらにプロテオームから得られた部分アミノ酸配列を遺伝子モデルにマップし、全ゲノム中の貝殻タンパク質のロケーションを推定し、比較ゲノム解析を行った。
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