本研究では動物における適応と種分化のメカニズムを明らかにするため、種によって異なる栄養獲得戦略を取るヒドラを用いて、刺胞動物間および近縁種間の比較ゲノム解析を行った。ヒドラ属には、共生クロレラと栄養面で相利関係にあるグリーンヒドラと、捕食性で比較的大型のブラウンヒドラが存在し、これらのゲノムにはそれぞれ別の生存戦略が反映されていると考えられる。本研究ではグリーンヒドラとブラウンヒドラのゲノムにおけるレトロトランスポゾンの分布の差、自然免疫系遺伝子の増加・複雑化、Homeobox遺伝子など体制に関する遺伝子の段階的縮小を示し、ゲノムから見た系統進化・種分化の実態を明らかにした。
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