研究課題
本研究では、高温耐性を有するリュウキュウカジカガエルについて(A)リュウキュウカジカガエルの高温耐性責任遺伝子群の同定と、(B)リュウキュウカジカガエル及びカジカガエルの温度適応の違いをもたらすゲノムDNA変異の解明を目的として研究を行っている。本年度は主に(B)の目的達成のため、ゲノムDNAのシークエンス解析を進めた。前年度までにゲノムシークエンスを行っていたが、今年度も引き続き全ゲノムを網羅した解読を試みるため、一般的な超並列シークエンスに加えて、長鎖解読のためにOxford Nanopore社の一分子シークエンスを行った。それぞれの種で合計で300Gb(X100 深度)を超えるデータを用いてアセンブルを行ったところ、昨年のデータに比べてcontig長で2倍程度の改善が見られた。また、その過程で一分子シークエンサー解析における実験プロトコルを改善しつつあり、以前の方法に比べて10倍程度のデータ出力を得ることが可能になった。アセンブラについても複数のプログラム及び、パイプラインを試行しており、現在のデータに対して非常に有効なプログラムを選定した。引き続き方法の改善を進めてゲノムデータの精度向上に努める予定である。また、(A)において同定された遺伝子座における両種間での分子進化及び機能変異、ゲノム配列における発現調節部位等の違い、遺伝子間の位置関係などについても精査を行っている。これらの結果に生態調査の結果を加えて、統合的に解析することで高温耐性獲得に関するゲノム進化についての理解を進める。
3: やや遅れている
他業務に充てる時間が多くなったことにより、当初の計画であった解析等を十分に行うことができなかった。
採集調査などの活動が制限されたことにより、次年度以降は対象種のサンプリングが不可能になっている。しかしながら、対象種の飼育繁殖法を独自に確立しているため、この方法を最大限に活かして研究活動を行う。次年度は最終年度に当たるため、他業務のエフォートを縮小し、研究の総括を行いたい。
当初予定していた外注費が想定よりも少なかったため、差額が生じた。次年度にゲノム解析のための試薬消耗品に使用する。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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