研究課題
陸上植物はその生活環の中で単相と複相の両方に多細胞体制を構築する世代交代を行うが、これは陸上植物の進化の初期に獲得された新規形質である。研究代表者は陸上植物ヒメツリガネゴケを用いて世代交代を制御するホメオボックス型転写因子KNOX2遺伝子を報告した。近年、陸上植物に近縁であるが世代交代を行わないストレプト藻類のゲノム中にKNOX2遺伝子が存在し、KNOX2遺伝子とその姉妹遺伝子であるKNOX1遺伝子はストレプト植物の共通祖先にすでに存在したことがわかった。一方、ヒメツリガネゴケ以外の陸上植物にもKNOX2遺伝子は存在するが、これらのKNOX2遺伝子がそれぞれの植物種で世代交代を制御しているかは不明であった。本年度はストレプト藻類のKNOX1遺伝子とKNOX2遺伝子、及びヒメツリガネゴケで世代交代を制御することが示されたBELL遺伝子の相同遺伝子の機能解析のため、ヒメミカヅキモKNOX1遺伝子、KNOX2遺伝子、BELL遺伝子に変異を誘導するプラスミドを作製し、ヒメミカヅキモへ導入した。その結果、ヒメミカヅキモKNOX1遺伝子及びBELL遺伝子の変異株をそれぞれ取得した。これらの変異株ではいずれもヒメミカヅキモの有性生殖が亢進していることがわかった、研究代表者らによってゲノム解読と形質転換系の確立が実施されたツノゴケAnthoceros agrestisのKNOX2遺伝子の発現領域の特定のため、KNOX2遺伝子プロモーター解析のための形質転換体を複数株作製した。配偶体においてはKNOX2遺伝子の発現は確認できず、これは他のコケ植物であるヒメツリガネゴケの結果と一致している。また、シャジクモのKNOX2遺伝子の機能解析のため、形質転換体系の確立を試み、パーティクルガンによる遺伝子導入に成功し、抗生物質耐性株を得ることができた。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
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https://www.rikkyo.ac.jp/news/2021/07/mknpps000001p9jk.html