性格(パーソナリティ)とは個人を特徴づける持続的で一貫した行動傾向であり、ヒト以外の動物界にも広く認められる。ヒトのパーソナリティについては多数例を用いた脳機能イメージング研究により、その特徴が脳の構造的・機能的特徴と関連付けられることがわかってきた。本研究は、ヒトに近縁な霊長類のなかでもヒトと近い社会性を示すコモンマーモセットを用いて、飼育者の質問紙によるパーソナリティ評定を行い、脳機能イメージング法による脳画像を取得し、そのパーソナリティと脳の構造的・機能的特徴を関連付けることを目的としている。 本年度は、これまでにデータ取得、解析を行ってきた128頭分のコモンマーモセットについてのパーソナリティ5因子およびセロトニン1a受容体のSNP多型との関連を論文発表することができた。このうち50頭のコモンマーモセットのセロトニンおよびドーパミン神経系を標的にしたPET画像、高解像度の脳構造および安静時機能MRI画像の解析を進めた。ヒト脳画像処理パイプラインのコモンマーモセット脳画像への最適化はほぼ完成したが、全例の皮質構造、安静時MRIによるコネクトーム抽出には至っていない。PET画像についても全例の神経伝達物質効率の定量化を進めている。
|