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2019 年度 実施状況報告書

造卵器・造精器形成に基づく陸上植物基部大系統の質的分子系統解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K06376
研究機関金沢大学

研究代表者

小藤 累美子  金沢大学, 生命理工学系, 助教 (40324066)

研究分担者 山田 敏弘  大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70392537)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード系統進化 / 陸上植物 / コケ植物 / 生殖器官 / 発生過程 / ツノゴケ
研究実績の概要

本研究申請時には、大規模データを用いた分子系統解析によっても、ツノゴケ類が陸上植物の最基部で分岐したのか、セン類タイ類からなるクレードの姉妹群でありコケ植物は単系統群なのかが未解明であったが、その後後者を支持する結果が複数のグループから提示された。しかし、セン類とタイ類については単系統であることを支持する形態形質が示されているが、ツノゴケ類を含めたコケ植物の単系統性を支持する形質は不明である。その原因の一つに、ツノゴケ類で詳細な発生過程の知見が不足していることが挙げられる。そこで、ツノゴケ類に焦点をあてて解析を進め、以下の結果を得た。
1. ヒメツリガネゴケのQuarz-seqデータのDEG解析から、造精器形成の初期過程で発現している遺伝子の候補を68個得た。うちPhytozome Gene ancestoryによりコケ植物にのみ存在すると示された2つのグループに属する4遺伝子について分子系統解析を行ったところ、いずれも維管束植物にもオーソログが存在していた。
2. ツノゴケ実験系統 Anthoceros agrestis Oxford strain(雌雄同株)の培養を続けるうち、造卵器のみを形成し造精器を形成しなくなるという問題が発生したが、培養条件の検討により解決し、さらに胞子体形成まで効率よく行えるようになった。
3. 昨年度 A. agrestis で発見した、従来の教科書の記述とは異なる造精器チャンバーの発生過程が、野外から採集した A. punctatus でも共通することを確認した。さらに、この発生過程が造卵器形成の初期過程と類似しているという新たな事実を発見した。これは、造精器形成に先立つ造精器チャンバー形成と造卵器形成に共通のメカニズムが使われている可能性を示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

予期せぬ培養上のトラブルの解決に時間を取られ、造精器形成過程のRNA-seqの実施に至らなかった。とはいえ、解決の過程で培養条件を洗練させることができ、RNA-seqのための具体的なサンプリング計画を立てることができるようになった。
また、ツノゴケ類の発生過程について、従来の知見を覆す新事実を引き続き明らかにし、今後、造精器、造卵器の進化に関する考察を行うためのデータを得ることができた。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画に含まれていたコマチゴケについては、無菌株から雄株を得ることができなかったこと、野外で生育している株における生殖器官の発生開始時期をまだ明らかにできていないこと、ツノゴケの研究から予期せぬ新発見が得られたことから、研究をツノゴケに絞ることとする。A. agrestis を用いて、生殖器官を形成しない段階、造精器を形成している段階、造卵器を形成している段階のRNA-seqを行い、これらのDEGから再度生殖器官形成過程で発現するコケ植物特異的な遺伝子の探索を行う。ヒメツリガネゴケのQuarz-seqデータはリード数が多くないことから、R1年度に見つけることのできなかった遺伝子を見出せる可能性がある。

次年度使用額が生じた理由

予期せぬ培養上のトラブルの解決に時間を取られ、造精器形成過程のRNA-seqの実施に至らなかったため。R2年度に実施し、使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ツノゴケの組織発生2020

    • 著者名/発表者名
      小藤 累美子
    • 学会等名
      日本植物学会第84回大会
  • [学会発表] ツノゴケにおける雌雄の生殖器官形成過程の類似性2020

    • 著者名/発表者名
      中村 亮、小林 淳平、嶋村 正樹、小藤 累美子
    • 学会等名
      日本植物学会第84回大会

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公開日: 2021-01-27  

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