北東アジアにおけるユキノシタ科チシマイワブキ(Micranthes)属3種の集団形成過程を考察した。これらの種は核遺伝子の系統解析により大陸のM. nelsonianaのクレードと、複数種を含む大陸周縁部のクレードに大きく分かれ、後者はさらに5つの明瞭なクレードに分かれた。うち、東アジア区系に適応したM.fusca以外は、高山グループと島嶼グループの2系統を形成し、島嶼間や大陸-島嶼間で種を越えた遺伝子交流を行っていることが示唆された。本研究の結果、大陸周縁部のMicranthes属は独自の遺伝構成を持ち、この属の北東アジアでの遺伝的多様性に寄与していることが示された。
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