日本の照葉樹林の優占樹種であるシイ類とカシ類を対象とし,マイクロサテライトマーカーあるいは次世代シーケンサーのRADseq法による系統解析および遺伝子多型解析から集団変遷の歴史を推定した。シイ類は,遺伝的に異なる4グループ(琉球,太平洋岸の西側,東側,日本海側)に分けられた。これら4グループは最終氷期最寒冷期前には既に成立しており,それぞれの地域で独自に最寒冷期を生きのび,氷期後に暖かくなるにつれて個体数を増やしたと考えられる。このように照葉樹林構成種の氷期のレフュジアの位置や規模,その後の変遷過程を推定できた。
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