研究課題/領域番号 |
18K06382
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
坂山 英俊 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (60391108)
|
研究分担者 |
加藤 将 東邦大学, 理学部, 訪問研究員 (30624738)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 進化 / 比較ゲノム / シャジクモ藻類 / ストレプト植物 / 多細胞体制 |
研究実績の概要 |
本研究では、シャジクモ藻類シャジクモ(Chara braunii)において申請者らが確立した生態型の異なる系統株の概要ゲノム、遺伝地図、遺伝子発現情報を基礎とし、さらに変異誘発処理によりシャジクモ1倍体多細胞体の栄養器官、生殖器官の表現型変異を示す突然変異体を分離し、その変異体の責任遺伝子の特定を目指す。また、本研究で着目した遺伝子がシャジクモにおいてどのような役割を果たしているのかを解明し、陸上植物とシャジクモ藻類の多細胞体制の発生システムにどのような違いがあるのかを解析し、植物多細胞体制の進化過程を考察する。 平成30年度は、生体材料として、シャジクモの生態型が異なる複数の系統株を用いた。突然変異原としてEMS(エチルメタンスルホン酸)を用い、シャジクモの葉状体をEMS水溶液に浸漬し変異誘発するための条件検討を実施した。条件検討を重ねた結果、葉状体の形態変異を示す株を単離することができた。また、野外調査により収集したシャジクモの培養サンプルの中から、正常な形態の個体と形態が著しく異なる個体が混ざった株を発見した。この培養株について、両個体の葉緑体DNA配列を確認した結果、両個体は同一のクローンに由来する可能性が示唆された。これらの葉状体の形態変異を示す株について、ホールゲノムショットガン解析および交配実験を進めた。また、野生株と葉状体の形態変異を示す株の遺伝子発現パターンを比較するため、形態変異を示す株の器官/発生段階毎の細胞をサンプリングし、液体窒素で固定し、RNA抽出を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シャジクモのEMSを用いた変異誘発は前例のない実験のため、実験系の立ち上げや条件検討に時間を要し、研究の進行がやや遅れている。しかし、少数ではあるが、葉状体の形態変異を示す株を得ることができ、解析を進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、さらに条件検討を重ねて葉状体の形態変異を示す株の単離を進めるとともに、すでに得られている株のホールゲノムショットガン解析および交配実験を進めていく予定である。また、遺伝子導入による遺伝子機能解析についても条件検討を実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行がやや遅れているため、本年度に予定していた分子生物学的解析の一部を次年度に実施することとし、ゲノム解析、遺伝子機能解析、情報解析に使用する予定である。
|