研究課題
本研究では、シャジクモ藻類シャジクモ(Chara braunii)において申請者らが確立した生態型の異なる系統株の概要ゲノム、遺伝地図、遺伝子発現情報を基礎とし、さらに変異誘発処理によりシャジクモ1倍体多細胞体の栄養器官、生殖器官の表現型変異を示す突然変異体を分離し、その変異体の責任遺伝子の特定を目指す。また、本研究で着目した遺伝子がシャジクモにおいてどのような役割を果たしているのかを解明し、陸上植物とシャジクモ藻類の多細胞体制の発生システムにどのような違いがあるのかを解析し、植物多細胞体制の進化過程を考察する。令和2年度は、前年度から引き続き、生体材料として、シャジクモの生態型が異なる複数の系統株を用い、突然変異原としてEMS(エチルメタンスルホン酸)を用い、シャジクモの葉状体をEMS水溶液に浸漬し変異誘発するための条件検討を実施した。これまでに同定された葉状体の形態変異を示す変異体株について、野生株とのゲノム配列の比較を進めた。また、変異体株について、詳細な表現型解析を実施した。さらに、シャジクモにおける恒常的な遺伝子導入系を確立するため、プロトネマに形成される幹細胞を標的とした遺伝子導入の条件検討を実施した。その結果、藻体節部から一度に多数のプロトネマを生じさせることに成功し、安定して多数のプロトネマを得ることが可能になった。また、得られたプロトネマの幹細胞を標的としたマイクロインジェクション法、パーティクルボンバードメント法などによる遺伝子導入の実験に関する条件検討を実施した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
Journal of Asia-Pacific Biodiversity
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Phycological Research
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