• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

我が国のヒトバベシア症病原体における多様性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K06398
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

新倉 綾  国立感染症研究所, 動物管理室, 主任研究官 (10392325)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードBabesia
研究実績の概要

ヒトバベシア症はマダニによって媒介される動物由来感染症である。病因であるBabesia属(ピロプラズマ目)の原虫は染色体4本をもち、約6.5Mbpのゲノムサイズはアピコンプレックス門のなかでも最も小さい。同様にホストの赤血球に感染するマラリアのゲノムと比較するとサイズは1/4しかないが、寄生性のライフサイクルは同様で、哺乳類の赤血球では増殖分裂を繰り返し(clonal expansion)、マダニの体内では中腸での生殖分裂(sexual expansion)と唾液腺内にて分裂増殖する。
今年度はパックバイオロングリードおよびイルミナショートリードの組み合わせにより、全ゲノムシークエンスを実施した。4本の染色体ゲノムとアピコプラストゲノムのアッセンブルに成功し、平均read depthなどの指標から、ロング+ショートの使用が信頼性の高いデータにつながることが示された。一方で、ホストにマッピングされたリードが原虫より2倍以上多いことが、改善点として挙げられた。次世代シークエンスの材料となる原虫ゲノムのクオリティを高めるため、種々の手法を試みた結果、複数の方法を組み合わせて段階的に白血球を取り除くことにより、原虫感染赤血球1マイクロリットルあたり、ホストの単核球、多型球細胞を数個にまで減少させることに成功した。ステップを踏むことにより、原虫へのダメージが懸念されるが、生物学的活性や顕微鏡観察による形態学的変化は認められなかった。上記の手法により原虫ゲノムのリード数は改善されるため、より高精度の解析が可能であり、現在、他の原虫株についても同様にシークエンスを行ってデータ解析を行っている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

高品質のゲノムを準備することが、次世代シークエンスおよびその後の解析において最も重要である。次世代シークエンスにかけるまでのステップを見直し、手法を改善するために時間を要した。しかし、本研究課題で解読するサンプルはすべて同じ流れであることから、今後は迅速に質の高い解析結果を得ることができると考えている。

今後の研究の推進方策

今年度は、遺伝子発現解析と伝子アノテーションをすべての株において行い、DDBJへの登録と公開を行う。解析においては、B. microti グループ内外の進化関係の解明、抗体調査に有用な抗原候補の選定、
抗原多様性と寄生適応(持続感染)に関与する分子の推定等を実施する。

次年度使用額が生じた理由

1件当たり40-50万円の外部委託費用(次世代シークエンスおよび解析)を見込んでいたが、発注が当該年度以内に行うことが出来なかったことから、次年度使用額が生じた。今年度に複数件の外部委託が見込まれるため、これまで未使用であった多額の研究費用を使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Epidemiological Survey of <i>Babesia divergens</i> Asia Lineage in Wild Sika Deer (<i>Cervus nippon</i>) by Using Direct PCR in Japan2020

    • 著者名/発表者名
      Zamoto-Niikura Aya、Hagiwara Katsuro、Imaoka Koichi、Morikawa Shigeru、Ishihara Chiaki、Hanaki Ken-Ichi
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Infectious Diseases

      巻: 73 ページ: 68~71

    • DOI

      10.7883/yoken.JJID.2019.096

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Investigation of Tick-borne Pathogens in Ticks on Rishiri Island, Hokkaido, Japan2020

    • 著者名/発表者名
      Zamoto-Niikura A., M. Sato, H. Kawabata, K. Sato-Okubo, S. Ando, C. Ishihara & K. Hanaki
    • 雑誌名

      Rishiri Studies

      巻: 39 ページ: 41~46

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi