研究課題/領域番号 |
18K06398
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
新倉 綾 国立感染症研究所, 安全実験管理部, 主任研究官 (10392325)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 遺伝的多様性 |
研究実績の概要 |
Babesia microtiのすべての遺伝子型について、次世代シークエンスによるフルゲノムシークエンスの決定、アノテーション、染色体性状の確認を行った。 モデルとなっているB. microti RI株は、これまでに配列決定されたすべてのアピコンプレックス門寄生虫の中で最小の核ゲノムを持ち、約3500のポリペプチドをコードする4つの染色体を持つことが示されている。これと比較したところ、同一種でありながら、遺伝子型間で染色体サイズの多様性が認められた。ミトコンドリアゲノムについては、他のすべてのアピコンプレックス門とは異なり、環状である。 染色体ゲノムのファンクショナルアノテーションでは、予測蛋白の60%が既知または機能が推定されるタンパク質をコードする遺伝子であった。また、未知蛋白質をコードする遺伝子の約10%はB.microti固有であった。アノテーションされた遺伝子全体の5%以上を占めるものとしては、翻訳、リボソーム構造および生合成、複製・組換えおよび修復、翻訳後修飾、タンパク質代謝回転、シャペロンに関する遺伝子が含まれていた。 次年度はDDBJへの登録と公開をおこなうとともに、進化関係の解明、抗体調査に有用な抗原候補の選定、抗原多様性と寄生適応(持続感染)に関与する分子の推定等を実施する。また、マダニ感染原虫におけるトランスクリプトーム解析を行い、ベクター内における原虫の感染動態を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の流行により、研究活動に大きな支障があった。 赤血球感染ステージのゲノム解析は終了したが、マダニの唾液腺ステージであるスポロゾイト原虫につていの解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
DDBJへの登録と公開を行うとともに、進化関係の解明、抗体調査に有用な抗原候補の選定、 抗原多様性と寄生適応(持続感染)に関与する分子の推定等を実施する。また、マダニ感染原虫におけるトランスクリプトーム解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症への対応により、本研究の遂行に支障があった。マダニ感染原虫に関する解析を行うため、次世代シークエンスおよびデータ解析の外部委託費が必要である。また、感染マダニの作製のための動物実験関連費用等も必要である。
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