海洋性双翅目昆虫が、淡水から海水へ進出した起源地の可能性のあるアフリカ大陸に焦点を絞り、本グループの起源地、分散経路、種分化、多様性について解明することが本研究の目的である。全球レベルでの海洋性双翅目昆虫の分散と進化について解明する過程で、アフリカ大陸が未調査であり、分散経路を推定する上で欠かせない地域であるアフリカ大陸を対象とした。 アフリカ大陸の野外調査により、ケニアから岩礁海岸性のCymatopus属の1未記載種が採集された。タンザニアからはCymatopus属の1未記載種が採集された。モザンビークからはCymatopus属の2未記載種とAsydentus属の1未記載種が採集された。南アフリカからは岩礁海岸性のCemocarus griseatusとCemocarus stuckenbergiの2既知種とCemocarus属の3未記載種、塩性湿地に生息するThinophilus属の2未記載種が採集された。特に、東アフリカから見つかったCymatopus属やAsydentus属については、今回の調査により初めての記録となるものであった。 野外調査で採集した標本は顕微鏡下で解剖を行い、形態を詳細に比較検討して未記載種については記載を行っている。また、標本の保存については乾燥標本とDNA解析が可能なエタノールに浸けた形で保存している。
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