研究課題/領域番号 |
18K06410
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
徳永 幸彦 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90237074)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ネットワークカメラ / OpenCV / minimal Bold / correlated random walk |
研究実績の概要 |
既存のネットワークカメラを利用し、鹿島と久慈川において、サギ類コロニー形成の過程を解明するために、遠隔操作による自動動画撮影を行なった。その結果、最も早く繁殖を始める鹿島コロニーでは、昨(2017)年同様、12月末日にはアオサギが飛来していることが明らかになった。一方、久慈川では2月に最初のアオサギの飛来が確認された。その他のコロニーでは3月にアオサギの飛来があった。これらのコロニーには、ゴールデンウィーク頃までに、他の5種のサギ類が飛来した。 2018年5月に、土浦のサギ類コロニーの上空20mの位置に、新規のネットワークカメラを設置した。ネットワークカメラの提供するWeb APIにより、任意の時間に、コロニー内の任意の箇所を観測できる観察システムを構築することができた。2019年3月には、更にRubyとOpenCVを使用して、コロニー内の任意の位置とその場所での撮影倍率を複数点記録し、任意の時間にそれらの観測点を巡回しながら動画を自動的に撮影するアプリケーションの作成に成功した。 群構築のアルゴリズムとしては、位置情報をまったく利用せずに群を構築するminimal Boidとして、Ruby版とGO言語版を作成した。ノイズの無い状態では、オリジナルのBoidと同じように、群形成、群乖離後の際形成、そして群のリーダーへの追従を再現することができた。また、30余年におよぶサギ類コロニーの移動経路をcorrelated random walkによって解析し、世界で初めてコロニーレベルでの帰巣性を明らかにした(Mashiko and Toquenaga 2018).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、3つ目のサギ類コロニーにもネットワークカメラを設置することができた。しかし、カメラを高所に設置することで、予想以上の多額の工事費が発生した。また、自動的に任意の観測点を巡回して撮影するアプリケーションの作成において、ネットワークカメラの提供するAPIとの相性もあり、思った以上に時間がかかり、完成版の作成が2019年3月になってしまった。群形成の理論的アルゴリズムとしては、minimal Boidのアルファー版が完成した上、よりマクロなアルゴリズムとしてのcorrelated random walkに基づくアルゴリズムに関しては論文発表まで漕ぎ着けることができた。
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今後の研究の推進方策 |
minimal Boidに関しては、2019年11月のSWARMで招待講演の依頼があり、それまでに様々なノイズに対応したアルゴリズムを完成させる予定である。ネットワークカメラによる観測は、ほぼ自動化が終ったので、録画されたものからサギ個体を抽出するアルゴリズムを完成させ、それらを基により一般的な群構築のアルゴリズムの発見を行う予定である。
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